目次
第1部 オルドビス紀(カンブリア爆発の“生き残り”;環境のスペシャリスト「三葉虫」;シンシナティの“窓”;スームの“冷たい海”;魚類黎明期)
第2部 シルル紀(台頭するウミサソリ;サソリも海にいた;ロチェスターに開いたシルル紀の“窓”;シルル紀のポンペイ;魚たち)
著者等紹介
土屋健[ツチヤケン]
オフィスジオパレオント代表。サイエンスライター。埼玉県生まれ。金沢大学大学院自然科学研究科で修士号を取得(専門は地質学、古生物学)。その後、科学雑誌『Newton』の記者編集者、サブデスクを担当。在社時代に執筆・編集した記事は、地球科学系を中心に宇宙から睡眠、ロボット、高校部活動紹介まで多数多彩。2012年に独立して現職。フリーランスとして、日本地質学会が年2回一般向けに発行する広報誌『ジオルジュ』でデスク兼ライターを務めるほか、雑誌等への執筆記事も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ホークス
33
2013年刊。オルドビス紀は動物グループが出揃ったカンブリア紀の直後。アノマロカリスに代わり、捕食者代表は真っ直ぐな殻を持つ6mの頭足類になった。海サソリも現れた。最盛期の三葉虫はトゲを生やすなど多様化。海底にはウミユリ等の立体的な"礁"が広がる。オルドビス紀末の大絶滅を経て、シルル紀の捕食者代表は大型の海サソリとなり、同じ祖先の現生サソリも水棲で現れた。陸上種の植物が生え始め、魚はまだ小型だけど、顎という革命的な機能を手に入れた。カラーイラストが美しい。海サソリ、魚類はイラストのお陰で進化が分かりやすい2025/05/19
Koning
33
一昔前なら誠文堂新光社あたり?が出してそうな真面目な古生物学な本。全ページカラーで化石写真と再現イラストが奇麗でございます。冒頭カンブリアの生き残りとしていきなりアノマロカリス類とか出てきて驚いた。三葉虫とウミサソリの尖った進化っぷりを眺めるだけでもこの時代捨てたもんじゃないねーと思わせてくれる。古生物学って新たな技術で古い化石を調べて旧説がひっくり返る事が多いんだけど、この時代も新たな化石と新たな技術(特に30μスライスをコンピュータで合成して立体を復元するとか)面白い事がおおいです。2014/09/19
たまきら
30
素晴らしい画像と復元イラストを楽しめます。文章も非常にわかりやすく、この時代については三葉虫(しかも昔ながらのワラジムシみたいなやつ)とウミサソリぐらいしか知識がなかった自分にとって、もう興奮の連続でした。まだまだ分からないことだらけなんですねえ。目が飛び出てたりとげだらけな三葉虫を見て「(クリーニングする人は)型抜き上手なんだろうな」と下町っ子な旦那が言って大笑い。シルル紀のポンペイも興味深い。確認できる最古の「雄」(現存する生物と同じ生殖器がある、という意味ですね)にも真剣になってた。男の子だなあ。2016/10/26
ヨクト
26
本巻ではカンブリア紀の後のオルドビス紀〜シルル紀。硬化組織を獲得し、門レベルでの多様性が増し、この時代には科・属レベルでの多様性が爆発した。イカの様な頭足類やウミサソリが台頭し、貝やサンゴも出来、我らの祖先である脊椎生物の魚類も見え始めた。奇想天外、びっくり仰天の海中パラダイスの中で、生物の弱肉強食進化の争いが行われるのだろう。より賢く、より強く進化しなければ、生き残れない。次巻もあるらしいので期待。カバーの裏地にもこだわりがあるよ。2013/11/28
更紗蝦
21
30年ほど前、地球上の生物が周期的に絶滅している理由として「ネメシス説」が話題になり、「ある一定の周期で地球に彗星が衝突する」というダイナミックな仮説に興奮を感じつつも、ちょっと都合が良すぎる気がしてしっくりしない部分もあり、ずっとモヤモヤしていたのですが、この本ではオルドビス紀の大量絶滅に関して「氷河の発達による海水の“撹拌”」を起因とする絶滅パターンを紹介しており、その内容の意外なシンプルさが、すごく自分の中で腑に落ちました。(他の時代の大量絶滅もこのパターンなのかどうかは分かりませんが…。)2016/10/17