内容説明
ホモ・サピエンスが誕生するまで人類は容易ならざる歴史を歩んだ。それは、われわれの祖先の遠い血縁者であるさまざまな“アナザー人類”が生き、そして地上から永遠に消えていった過去である。本書は彼らの数百万年の興亡を追いホモ・サピエンスの真の歴史に迫ろうとする。
目次
第1章 ヒトの進化を概観する
第2章 ヒトの居場所
第3章 最初のサルと“ミッシング・リンク”
第4章 最初の直立者たち
第5章 アウストラロピテクスの系譜
第6章 「ホモ・ハビリス」は存在したか?
第7章 ヒトの直系祖先ホモ・エレクトゥス
第8章 もっとも近い人類の仲間
第9章 最後のアナザー人類
著者等紹介
金子隆一[カネコリュウイチ]
神戸市生まれ。生物学・進化論・古生物学・天文学・物理学・医学など科学全般にくわしく、一般向け科学出版物・テレビなどで活躍。北米、ヨーロッパ、中国、南アフリカなどを頻繁に取材。イベント監修なども(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
310
著者の金子隆一氏は、いわば科学ライター。本書では人類史とその学術史を語る。タイトルは幾分安っぽいが、内容的にはかなり専門的な領域にまで踏み込んだもの。我々ホモ・サピエンス以前に滅び去った人類といえば、やはりネアンデルタール人を想起するが、現行の研究では、どうやら我々の祖先と重なる時期があったことがわかっている。ずっと以前はネアンデルタール人が滅んだ後にホモ・サピエンスの時代がやってきたかのような理解であったが。人類史は一つ新たな化石が出てくるたびに、これまでの説が根底から覆りかねない。2023/04/10
まーくん
88
技術評論社の「知りたいサイエンス」シリーズの一冊。2011年刊。著者は研究者ではなくサイエンスライター。既に37冊の最新科学論シリーズを出しているグループが企画・編集・制作を行っていて内容や難易度に偏りがなく、その分野の知識を広く理解するには良いかも。それでも数多くの古人類が次々に登場し、その繋がりはよく理解できない。新たな化石が発見される度に推論は書き換えられる。我々ホモ・サピエンスはヒト属の唯一の生き残りで、他に多くの傍系の古人類が存在したが、全て絶滅した。ならば直系の祖先は”誰”なのか?⇒ 2023/04/29
こぽぞう☆
21
この前、人類の進化にハマったのはだいぶ前(20年くらい前?)でその後の知見の蓄積はネイチャーなどで読む程度だったから、勉強になった。多地域進化説がまた浮上しているのね。ホモサピエンス以外のホモ族は本当のところいつまで存在したのかな?2016/06/25
那由田 忠
11
面白かった。文献を見るとほとんどが英文のものばかり。日本語ではここまで詳しくアナザー人類の紹介はされていない。ナショナル・ジオグラフィックに時々書かれる程度だ。今の通説であるホモ・サピエンスとネアンデルタール人との関係やアフリカ脱出などについて、異論が割と詳しく紹介されてなるほどとは思ったが、通説の方が強いだろうと思った。最近またイスラエルで新たな発見もあったらしいし。とにかく、人類進化に興味のある人にはぜひ読んでほしい本である。お薦め。2015/01/26
ist
7
2011年時点での最新の人類学や考古学の研究結果から予測するアナザー人類ー人間になれずに消滅した傍系人類の系譜である。 どのようにして猿からヒトに進化したのか、人類とはそもそもどういった存在なのか、ミトコンドリアイヴを出自とする単一起源説と同時平行的に適応進化したと考えられる多地域進化説。 環境の変化が食事を変え体内組成を変えたのか、2足歩行になって道具を使ったから脳が大きくなったのか。 人類学、生命史、考古学、古生物学に長け、なおかつハードSFを愛した著者、金子隆一氏の早過ぎる死を悼む。2014/02/11