出版社内容情報
ゲルギエフの実像に見るロシアの底力
――政治や経済の混乱でダメになるものは文化とは言わない
――ロシアは文化を通じて再生する人
大統領から市井の人たちまでロシアで本当に沢山の人たちと知り合い、豊かなジャーナリスト人生だった思うが、中でも本書の主人公である指揮者ワレリー・ゲルギエフと不思議な出会いをして四半世紀、彼の活動とロシアの人々が共産主義政権の崩壊の混乱から立ち直る様子を見るのは感動的なことだった。
その人物との付き合いを具体的にお伝えし、ロシアの力が決して軍事力や資源だけではなく、文化への自信と信頼に根ざした人間にあることを知っていただきたいとの思いを込めて書いたのが本書だ。(「あとがき」より)
<著者紹介>
こばやし・かずお
1940年長野県生まれ。東京外語大ロシア語科卒業NHK入局。70年から95年までの間にモスクワ、ウィーン駐在は14年間。ソ連崩壊の報道で菊池寛賞、ソ連・ロシアの客観報道でモスクワジャーナリスト同盟賞。ロシア文化への貢献でロシア政府プーシキン勲章。NHK解説主幹、作新学院大学教授を経てフリージャーナリスト。サイトウ・キネン財団評議員、日本民間外交推進協会専門委員、日墺協会理事。著書に『エルミタージュの緞帳』(日本エッセイスト・クラブ賞)、『1プードの塩』、『狐と狸と大統領』、『白兎で知るロシア』、プーチン大統領とのロングインタビューを基にした『プーチンと柔道の心』(共編著)等
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
41
☆3。【ゲルギエフのファン及び小林和男さんには失礼します】うーん。読メの皆様絶賛なので読んでみたが・・・ワタクシの印象はというと、ゲルギエフ・ファンブック。突っ込んだ分析、議論は一切なし。加えてなぜか小林和男さんの自伝風な所も出てくる。「波乱のロシア」と副題がついているとおり、ロシアの様々な事情がちょこちょこ出てくるのでそこそこ面白く読めたが・・・。まあ、自分の読み方が足りないだけなのだろう、あるいは自分に偏屈な部分があるのでは?と反省しつつ、また時期を開けて再読してみよう。2020/07/02
trazom
41
NHK特派員として個人的親交の深い小林さんが、その実像を見事に描く。バーンスタインと共通する音楽的特徴、オセチアという少数民族出身の誇り、母や妻への深い愛情、教育への情熱、ロシアへの思いなど、ゲルギエフさんの規格外のエネルギーの源泉を思い知る。「経済や政治の混乱でダメになるものは文化とは言わない」「ロシアには本物の文化の力がある」「私は音楽という武器を持ってきた」「政治家は分裂を招き、音楽は団結をもたらす」…強い信念に基づく言葉の数々。彼の演奏は2回しか聴いたことがないけれど、その音楽は確信に満ちていた。2020/02/11
kawa
30
元NHKモスクワ支局長の著者と指揮者・ゲルギエフとの交流を通じて、ロシアを文化芸術面から描写。政治や経済に目が向きがちなロシアのまた違った一面に気づくかされる良書。関心を持って見ていきたい分野がまた一つ増えた。天才バレリーナ・プリセツカヤの「ポリショイ劇場は私の劇場だ」と豊かな西側に亡命しなかった周辺話しは感動的。ゲルキエフを陰から支えた日本人資産家のチェスキーナ・永江・ヨーコさんも初知り。2020/02/01
ソバージュ
9
著者とゲルギエフとの交流を通して大指揮者の人柄を知り、バイタリティー溢れ有言実行者の方のようで圧倒された。読みやすい文章構成で、ソ連・ロシアの内情、マリインスキー劇場やチェスキーナさん、チャイコフスキーコンクールについても興味深く、大扉絵も好み。モスクワ勝利公園での「1812年」は聴いてみたいなぁ。2021/03/07
桜
3
ロシアが誇るゲルギエフとこんなに深い親交が持てるなんて、小林さんは非凡な人なのだろう。北オセチアのウラジカフカースと資産家のチェスキーナさんの話が印象的。2023/03/17
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