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出版社内容情報
アンデス山中で、白人に生まれながらインディオの間で育った少年の目に、先住民差別の現実はどう映ったか。
待望久しいインディヘニスモ文学の最高峰。
内容説明
萎えた心をふるい立たせる雄大な流れをつくるアンデスの〈深い川〉。そこに生きる少年の魂の内部に流れる〈深い川〉。村人に襲いかかる疫病を死の国へと運び去る〈深い人〉。山と川を越え、闇の中を町に押し寄せる裸足のインディオたちの〈深い川〉―アンデスの自然の中を流れ、人びとの魂の奥底を流れる〈川〉の力を描く、ペルー作家の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つだしょ
5
1)クスコの石壁の描写[p10]が魅力的だったので手にとった。また、解説によれば、作者ホセ・マリア・アルゲダスは57歳のときにこめかみをピストルで撃ち、4日間苦しんで死んだ。そのことにも興味をもった。物語全体が、作者の幼少期の体験と深く結びついている。ペルー南部の都市アバンカイが舞台。アバンカイにたどり着くまでに主人公エルネストは、弁護士である父親と各地を転々とした。節々でみられるように、彼の繊細な感受性が豊かに育くまれたであろう。2013/02/27
ふくろう
4
インカ・ペルーの大地と風のにおいがする作品。土着と疎外。息づく世界。スンバイユ(こま)をまわして、伝言を遠い地の父に届けようとするシーンがよかった。2009/02/13
よきし
3
おそらくアルゲーダスの生き写しであるエルネストの孤独な、アンデス先住民の魔術的世界を生きる視点で描き出される20世紀半ばのアンデス世界。旅、寄宿舎、農場、恋、暴動、疫病といった思春期の少年が出会ったさまざまな事件が白人にも先住民にもなりきれない少年の揺れ動く心を通して訴えかけてくる。スンバイユがほしくなった。アンダワイラスに行こう。もう、変わってしまっているだろうけど。2010/01/15