内容説明
19世紀前半の植民初期、「友好的なフロンティア」と呼ばれたオーストラリア西南部の海辺で、先住民と入植者が育んだ幸福な友情とやがて訪れた悲しい対立の物語。アボリジニにルーツを持つ作家が、オーストラリア現代文学に切り拓いた新たな地平。
著者等紹介
スコット,キム[スコット,キム] [Scott,Kim]
1957年、パースに生まれる。オーストラリア南西の海岸部がルーツのアボリジニ、ヌンガルの人びとを祖先にもつ。これまでに3作の長編小説True Country(1993)、Benang:From the Heart(1999)、That Deadman Dance(2010)を発表し、BenangとThat Deadman Danceでマイルズ・フランクリン賞と西オーストラリア州文学賞をそれぞれ2回受賞した。2011年より、カーティン大学(パース)メディア・文化・創造芸術学部の教授を務める
下楠昌哉[シモクスマサヤ]
1968年、東京に生まれる。同志社大学文学部教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
57
自然を愛し自然を自分たちの言葉で歌いながら暮らしていたヌンガルたちは、新たにやってきたヨーロッパ人たちとの共存ののち、ヨーロッパ人に虐げられるようになって行き場をなくし、数を減らしていく。鯨の歌をうたって鯨を捕る気分を盛り上げるヌンガルたちの姿の、なんと生き生きとしていたことか。オーストラリアの先住民であるヌンガルの血をひく作家が描いた、ヌンガルとヨーロッパの人々のつながりの歴史を描いた物語。この作品にはヌンガルの言葉をも多く記されていて、その点でも貴重な資料となっているそうだ。2017/08/22
ぱせり
6
オーストラリアには一時期「友好的なフロンティア」と呼ばれる時代があったそうだ。ボビー少年を中心に描かれるその時代の人々の姿、とりまく自然の雄大さ、美しさに魅了される。神話のよう、詩のよう。ああ、鯨の歌。入植者の数がヌンガル(アボリジニの種族)を上回るころ、いろいろなことが変わり始める。友好的なフロンティアって本当にそんなものがあったのかな。2018/02/20
かりぐらし
2
オーストラリカ先住民の少年ボビーが、白人の入植者達と親しくなり、彼らと土地の人たちを繋ぐ存在になる。タイトルの死人の踊りはボビーが見せたダンスから。その踊りによって先住民達から一目置かれることに。入植者達が先住民に与えたもの、そして奪ったもの。オーストラリアの歴史が綴られた物語。文章が非常に難しくて半分くらいしか理解できず。2024/01/21