内容説明
次代を担う理論家/実践家たちの配置と主体の問題をめぐる思考。
目次
馬に乗るように、ボールに触れ、音を奏でるように、人と関わる―dispositionという概念によるアプローチ
対談「世界・環境・装置―“ディスポジション”の可能性をめぐって」
イエスの“接近=ディスポジション”―近づくという行為・行為の伝達
行動資源の配置―財貨の生態学と人々の生活学
人間らしさを配置する―Cyclopsをめぐって
心身の再配置のために―デカルト哲学に見る意志の発生と機能
“配置”をめぐる論理と非論理―建築の四つのテキストから
マティスの布置―見えないものを描く
様式の“配置”、主体性の“処置”―伊東忠太“世界建築図”と「日本国民」
著者等紹介
柳澤田実[ヤナギサワタミ]
1973年生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程修了。現在南山大学人文学部専任講師。哲学・キリスト教思想専攻。宗教的経験や美的体験を、行為と環境との相関関係において捉える方法論を探究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bartleby
10
「Disposition(配置、傾向性、気質)」をキーワードに新しい哲学が目指されている本。建築、美術、ロボット、宗教と様々な分野が論じられているけれど、やはり語りにくいものについて語る方法を模索しているんだなという印象を受ける。ひとまずこの本ではDispositionから物事を見るイメージが得られればいいのだと思う。個々の論文ではDisposition哲学の批判対象であるはずのデカルトをDisposition的に読みかえる大橋さんの試みが面白いと思いました。2013/05/27
kentaro mori
2
「世界は配置(disposition)であり、人間は自らを取りまく配置によってたえず態勢づけられている(disposed)。」ディスポジション=配置、能力、力、傾向性、気持ち、、、冒頭の対談と、柳澤田実「イエスの〈接近=ディスポジション〉」、平倉圭「マティスの布置」が面白かった。2019/08/18
たらら
1
キーコンセプトとしては面白いが、中身を詰め切らないで広げすぎてしまった感も。領域横断は楽しいとは思うが、有機的にはからめていない。自分の仕事の範囲だけで、そつないがあまり結論のぱっとしない原稿をまとめてしまう若手の悪いところも出てるかも。その意味では、萱野・染谷対談が一番実りがあるかもしれない。生態心理学は他者のアフォーダンスという多項問題に進むべきだし、その際にキーになるのはディスポジションになるはず。2011/08/20