内容説明
奴隷労働が生み出す巨大な利益を享受するのは先進国の「善良な」市民だ。安価な商品が生まれる背景には二七〇〇万人に及ぶ奴隷の存在がある。売春婦・レンガ工・炭焼き人夫・農夫として最底辺に生きる人たちの実態を克明に調査した社会学者の渾身のレポート。奴隷制はつねに児童と女性に過酷な運命を強いる。「使い捨て」奴隷たちの搾取の連環を断ち切るために私たちは今こそ、行動を起こさなければならない。
目次
第1章 新しい奴隷制度
第2章 子供のように見えるから―タイ
第3章 忘却されざるいにしえ―モーリタニア
第4章 ぎりぎりの生活―ブラジル
第5章 奴隷はいつ奴隷でなくなるか―パキスタン
第6章 農夫の昼食―インド
第7章 今、何をなすべきか
著者等紹介
ベイルズ,ケビン[ベイルズ,ケビン] [Bales,Kevin]
1947年生まれ。英国サリー・ローハンプトン大学・社会学教授。主として現代奴隷制を調査・研究。ワシントンDCでNGO組織Free the Slaves代表を務めるかたわら、国連にて現代奴隷制及び人身売買問題に関するコンサルタントを兼任
大和田英子[オオワダエイコ]
1961年生まれ。アメリカ文学を専攻し、フルブライト・プログラムによりニューヨーク州立大学にてPh.D.を取得。法政大学教授を経て、早稲田大学国際教養学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あきら
2
「奴隷制」と聞いて、この本を、過去の歴史書だと思う人は、意外と多いかもしれない。けれど、なんで100円で物が買えるのか、服がこんなに安いのか、輸入しているはずのカカオを原料にしているチョコや、コーヒーがこんなにも安いのか、考えてみたらすぐにわかるはずだ。日本は関係ないと思っている時点で加害者で、紛れもない世界有数の加害大国だ。じゃあ、どうすればいいの?どうなっているの?という疑問に、わかりやすく問題提起と答えを示しているのがこの本。そして読んだだけで終わってはダメだということも、きちんと書かれている。2017/08/07