内容説明
本書では、坂口安吾が敗戦直後からサンフランシスコ講和条約が発効して日本が独立した一九五二年までに書いた散文の中から太平洋戦争に言及する一一本の作品を選んで収載しました。
目次
もう軍備はいらない
戦争論
ぐうたら戦記
堕落論
続堕落論
咢堂小論
特攻隊に捧ぐ
ヒンセザレバドンス
わが戦争に対処する工夫の数々
二合五勺に関する愛国的考察
通俗と変貌と
著者等紹介
坂口安吾[サカグチアンゴ]
1906年~1955年。新潟市生まれの小説家、エッセイスト。東洋大学文学部印度哲学倫理学科卒業。歴史小説、推理小説から批評、時代風俗まで、多彩な分野で旺盛な執筆活動を展開。敗戦直後に発表した『堕落論』はとりわけ有名で、無頼派と呼ばれ多くの作家に影響を与えた
吉田和明[ヨシダカズアキ]
評論家・コラムニスト。千葉県館山市生まれ。法政大学経済学部卒業。東京工業大学社会理工学研究科博士課程修了。1980年代に綜合評論誌『テーゼ』を創刊、主宰。日本ジャーナリスト専門学校講師、大学やカルチャーセンターなどの講師を務める。評論執筆の傍ら、『北海道新聞』など地方紙を中心に、コラム、書評、エッセイを執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネコ虎
2
安吾の評価は難しい。表面的には時代の制約もあってか、通り一遍の戦争嫌いにしかみえない。世界連邦などバカバカしいこともいう。左翼は喜ぶだろうが。レトリックが強くて論旨が理解出来ないところも多い。昔の国語の試験問題に出そうな文章ばかり。こういう文章、好きではない。空襲で死人が身近に出ても無感覚となるというところは恐ろしいことだが、なんとなく納得。安吾は評論より推理・歴史小説のほうがわかりやすいか。2016/12/13
Kunio Hanaoka
0
安吾らしい歯に衣着せぬ筆致、好き嫌いは分かれるだろうが、こと戦争に関しては彼の言っていることはまさに正論だと思う。2018/07/30