内容説明
漁業関係者、愛国者、国賊など様々な脇役は「密漁の海」を舞台に悲喜こもごもの物語を演じてきた。北方領土問題の歴史と迷走する政治状況も解説・解読。
目次
「国境の海」をめぐる物語
北島丸事件
レポ船の誕生
ジャテック事件
首領の時代
冷戦のはざまで
特攻船の隆盛
ゴルバチョフ訪日とソ連崩壊
癒着
四島の日本化
水産マフィアの抗争
分裂する対ロ政策
西の「北方領土」消えた並行協議
逆転
それぞれの「国益」
海霧の中で
宴の後に
停滞する領土問題、拿捕・銃撃事件が続く「国境の海」
著者等紹介
本田良一[ホンダリョウイチ]
1959(昭和34)年、熊本県生まれ。82年、京都大学経済学部卒業。古川電工、北海道庁を経て、85年、北海道新聞社に入社。根室支局、本社政治部、ハバロフスク駐在、東京支社政治経済部、モスクワ駐在、東京支社国際部、小樽支社報道部、釧路支社報道部などを経て、現在、函館支社報道部編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yohiiiidayo
20
古本屋で発掘。北方領土をめぐって暗躍する、スパイ、マフィア、密漁船。こんなに複雑怪奇な状況で、二島先行派と四島一括派が政府内でも対立。交渉が進まないわけですね。2017/01/15
BLACK無糖好き
5
北方領土水域の「国境の海」で繰り広げられる様々なドラマが描かれています。冷戦期のソ連への情報提供の見返りに安全操業を行うれぽレポ船、ソ連海域での密漁を行いソ連警備艇の追跡を振り切る高出力船外機を持つ特攻船、ソ連の水産マフィアの存在等、海産物の利権に群がる人たちの実態はなかなか興味深い。更に政治の場での領土交渉、鈴木宗男・東郷和彦・佐藤優の二島先行派と外務省の四島一括派の対立。鈴木と佐藤の逮捕、領土交渉も停滞していく。海上も陸上も本音と建前の狭間でいかに実をとるかに行きつくような感じがします。2015/11/18
深窓
1
前半が根室を舞台にしたレポ船、特攻船関係者と地元関係者が中心の群像劇。後半は一転して東京とモスクワの外交関係者同士の交渉劇となっている。 前半と後半で話のスケールは異なるが、ミクロな世界(根室の盛衰)とマクロな世界(日ソ・ロ外交)がリンクしていることを筆者は書きたかったのだろうと推察する。鈴木宗男氏と外務省のお互いを上手く利用しあった結末が「ムネオハウス」事件だったという整理は長年北海道新聞に所属し根室にもロシアにも駐在して取材してきた筆者による納得感あるものだった。2022/03/06
takao
1
ふむ2021/08/25
翔平
0
東京にいると北方領土の現実感は皆無なのだが、根室の漁師からは切実な職場の問題。国の力が及びきらない中での、賄賂、密漁も含めた経済活動の展開に目から鱗。 後半1/3は鈴木宗男の独壇場。領土問題を一手に仕切り、二島返還を目指すも足を掬われる。 経済政策に展望の見えない総理が二島返還に飛びつき、議員でもない鈴木がいまだに首相動静に現れる歴史のおかしみ。 ヤクザの特攻船は未開の市場を探し試行錯誤を繰り返すチャレンジ精神旺盛な起業家に重なる。2019/02/13