出版社内容情報
「マクドゥーガル報告書」(最終報告書)は98年、国連人権小委員会で採択され、世界の注目を集めた。この報告書は旧ユーゴやルワンダなどを例に、女性への暴力の防止と加害者必罰の原則の確立を提唱し、付属文書で日本政府に対して「慰安婦」問題の責任者処罰と被害女性への国家補償を強く勧告している。本書ではさらに、2000年8月に採択された「最終報告書のアップデイト」と同年12月の「日本軍性奴隷制(慰安婦)を裁く女性国際戦犯法廷」憲章全文を収載。
◆序にかえて―松井やより
マクドゥーガル報告は戦時・性暴力と闘う世界の女性たちの強力な拠り所に
◆マクドゥーガル報告書―本文
武力紛争下の組織的強かん、性奴隷制および奴隷制類似慣行に関する最終報告書
●1章 報告書の目的と背景
1:目的/2:背景
●2章 犯罪の定義
1:性暴力(強かんを含む)/2:奴隷制(性奴隷制を含む)
●3章 性奴隷制および性暴力(強かんを含む)を国際法の下で訴追するための法的枠組み
1:人道に対する罪/2:奴隷制/3:ジェノサイド/4:拷問/5:戦争犯罪
●4章 個人の責任追及
●5章 戦争犯罪者を捜査し、訴追する責務
●6章 効果的救済を受ける権利と損害賠償を実行する義務
●7章 国内での訴追
1:国内訴追の重要性/2:各国の国内法・手続きに共通の欠点
●8章 勧 告
●9章 結 論
◆マクドゥーガル報告書―付属文書
二次大戦中設置された「慰安所」に関する日本政府の法的責任の分析
●1章 日本政府の立場
●2章 強かん所の本質と規模
●3章 実体的国際慣習法における優越的規範
1:奴隷制および奴隷売買/2:戦争犯罪とプデイト』
◆二〇〇〇年版へのあとがき―松井やより
「女性国際戦犯法廷」開廷までの道のり
◆日本軍性奴隷制を裁く「二〇〇〇年女性国際戦犯法廷」憲章全文
■序にかえて――VAWW-NET Japan 代表 松井やより
◆「慰安婦」が問い始めた女性への戦争犯罪
戦後半世紀近くもたった一九九〇年代になって、日本軍性奴隷制の被害者にさせられた韓国の「慰安婦」が初めて長い沈黙を破って名乗り出たとき、女性の人権の新しい歴史が拓かれた。続いて声をあげたフィリピン、台湾、中国、北朝鮮、インドネシア、マレーシア、そしてオランダの被害女性たち……。それは加害国日本の責任を問い、正義の回復を求める声であった。その一人ひとりの女性の勇気に感動した女性たちが、それぞれの国で、そして日本で、「慰安婦」を支援する運動を広げ、歴史の闇に深く隠されていた女性への戦争犯罪を、国際社会全体の問題にまで浮上させたのである。
「慰安婦」運動の九年間に、各国の被害女性たちが日本政府に要求してきたのは真相究明、公式謝罪、国家補償、責任者処罰などであった。そのうちいったいどれだけが実現しただろうか。日本政府は道義的責任だけはようやく認めたものの、法的責任は今なお否定し続けている。高齢になった「慰安婦」たちは無念の思いを残してつぎつぎに亡くなっていく。
しかし、「慰安婦」たちがあげた声は世界中に届き
内容説明
「慰安婦」問題で日本政府の主張を完全論破。あらゆる性暴力の処罰に理論的根拠を示した画期的国連文書の全文。関連法律条文解説付き。マクドゥーガル報告アップデイト(2000年8月採択)収載。2000年女性国際戦犯法廷憲章全文収載。
目次
マクドゥーガル報告書 本文―武力紛争下の組織的強かん、性奴隷制および奴隷制類似慣行に関する最終報告書(報告書の目的と背景;犯罪の定義;性奴隷制および性暴力(強かんを含む)を国際法の下で訴追するための法的枠組み ほか)
マクドゥーガル報告書 付属文書―第二次大戦中設置された「慰安所」に関する日本政府の法的責任の分析(日本政府の立場;強かん所の本質と規模;実体的国際慣習法における優越的規範 ほか)
マクドゥーガル報告書(最終報告書)原注
最終報告書へのアップデイト・本文
最終報告書へのアップデイト・原注