内容説明
チェチェンはロシアの未来である。国内外で強権・強硬路線をひた走るロシアは、その実、内憂外患に悩む病める巨人だ。その病理は、過激な“ミニ・プーチン”カディロフが統治するチェチェンにこそ見出すことができる。「チェチェンを通してロシアを見る」、第一線のジャーナリストによる野心的な「ポスト・プーチン」論。
目次
プーチンとチェチェン
第1部 カディロフのチェチェン(カディロフの「藩王国」;異境化するチェチェン;紛争からの復興)
第2部 「越境」するチェチェン(やまぬ暗殺とテロ;チェチェンの新たな紛争;「チェチェン化」するロシア)
ポスト・プーチンと「火薬庫」チェチェン
著者等紹介
真野森作[マノシンサク]
1979年、東京都生まれ。一橋大学法学部卒業。2001年、毎日新聞入社。北海道報道部、東京社会部、外信部、ロシア留学を経て、13~17年にモスクワ特派員。大阪経済部記者などを経て、20年4月からカイロ特派員として中東・北アフリカを担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kawa
37
就任から20年を超え反・民主主義の方向に加速するプーチンが率いるロシア。その巨大タンカーを曳航するタグボート役と解説されるチェチェン共和国ラムザン・カディロフ政権の特異な実態をリポート。父子とも例えられるプーチンとカディロフの密接な関係。ロシアに先行する反・民主主義、愛国路線、暴力主義。戦闘能力の高い親衛隊の存在。政府職員の60%以上が縁故採用。しかもイスラム教による国家統治等。知らなかったこと多数で興味深く読了。(コメントへ) 2021/12/29
サトシ@朝練ファイト
28
序章がとてもいい。チェチェンの今、ポストプーチンの考察を読ませてくれます。今後もチェックしたい作家です。2021/10/02
スプリント
12
ここまでプーチンが長期政権を築くとは思ってもみませんでした。 プーチンが後継者をどのように考えているかが気になります。2021/10/20
Marcel Proust
11
2022年のロシアによるウクライナ全面侵略戦争の半年前に出版された一冊だ。14年からのウクライナ東部への侵略・クリミア占領を取材した毎日新聞記者が、プーチンの傀儡であるカディロフが牛耳るチェチェンの現地をルポしている。今やウクライナへの全面侵略を続けるロシア自体が、凶暴な残虐性で知られるカディロフのチェチェンと変わりない存在となっている。ネムツォフ暗殺など数々の暗殺事件や非合法の活動を指摘されるカディロフの親衛隊がモスクワでアンタッチャブルな存在になっている事も指摘されている。ロシアを理解するには必読だ。2023/11/28
Jampoo
9
ロシアとの独立紛争や暴力的な粛清で知られるカディロフのおさめるチェチェン共和国について知りたくて読んだが、思った以上に密接なロシア中央との関係、厄介な相互作用に驚かされる。 高い失業率、言論不自由、やまない暗殺、楽しい話は出てこないが、この本が書かれた2021年よりも国際情勢は悪化しているのが恐ろしい所。2025/05/16
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- 和書
- ディベート式交渉力