内容説明
「大文豪」「世界の良心」・トルストイはなぜ82歳という高齢で家出をしなければならなかったのか―その真実に迫る、あまりに人間的なドキュメントに感動せずにはいられない―。
目次
世界の良心・トルストイの家出
家出の決行
自己完成を目指す青年トルストイ
自らの使命の模索
二大名作と栄光
内的危機と一大転向―『懺悔』
民衆の教化と救済
『復活』―憤怒の大作
深まる妻との確執
闘うトルストイ―革命の嵐の中で
妻とチェルトコフの軋轢
家出―最後の旅路
著者等紹介
都築政昭[ツズキマサアキ]
昭和9年(1934)、愛知県に生まれる。昭和34年、日本大学芸術学部映画学科卒、NHK製作業務局撮影部に入局。昭和62年、九州芸術工科大学(現・九州大学)教授に就任。平成12年、岐阜県立情報科学芸術大学院大学教授に就任。平成17年より評論家(映画・ロシア文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひろゆき
1
残虐を極めた者が良心に目醒めるように、姦淫の限りを尽くした者が、その非道徳を激しく後悔する。矛盾の典型のトルストイの後半生に重点を置いた伝記のようなもの。『懺悔』の転向以降、私有財産を否定し、無政府主義というか空想的な共産主義に移行したトルストイが、貴族的な生活に固執する妻との確執が原因で家出。非暴力による社会改革を訴えるトルストイが、平和的には妻を変えることができず、家出という実力行使に出るのが、トルストイ主義(?)の限界と矛盾かな。著者はトルストイ非暴力思想が今も生きていると説くが、あまりに事大主義的2012/04/04