内容説明
アントワープからワルシャワまで紀行エッセイ集第2弾。人形劇、バレエ、建築、美味しいデザートを求める旅やドイツ人の生活ぶりを、失敗談、写真を交えて愉快につづる。
目次
第1部 二〇〇〇年夏(ふたたびヴッパータールの住まいで;市民ホールでの合唱コンサート;デュッセルドルフのベンラート城;ミュラー劇場での操り人形劇「魔笛」 ほか)
第2部 二〇〇一年夏(美術館の島・ホムブロイヒ(デュッセルドルフ/ノイス)
夏のクーヘン
ケルンのロマネスク教会
ドロテーのオランダの別荘 ほか)
著者等紹介
四日谷敬子[シカヤタカコ]
1944年横浜に生まれる。1974年京都大学大学院文学研究科(哲学専攻)博士課程修了。京都大学博士(文学)。1974‐76年DAAD(ドイツ学術交流会)の奨学金を得て、西独ボッフム大学に留学。1980年福井医科大学助教授。1993年京都大学総合人間学部教授。1999年10月‐2000年1月DAADの再招待により、ヴッパータール大学に研究滞在。2003年京都大学大学院人間・環境学研究科教授
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
282
著者は哲学者。ハイデガーの専門家のようだ。タイトルの「ヴッパータール」に魅かれて購入したのだが、デュッセルドルフ近郊の町の名前。「タール」はドイツ語で「谷」のことなので、それが地名であることに気が付きそうなものであった。副題の「芸術の旅」は言ってみただけというところ。とりわけ芸術に深く関わる旅が記されているわけではない。著者はこのヴッパータールを基点にヨーロッパの各地を旅するのだが、人々との交流を含めてドイツが最もよく読者には伝わるようだ。逆に言うと、この人はドイツ贔屓で、ドイツ語が通じないと、旅の⇒2023/03/13
きぬりん
1
ハイデガー研究者による紀行エッセイ。2000年と翌年夏のヴッパータールへの短期滞在を契機としているようだが、この街やそこでの生活に関する記述は少ない。むしろ、副題が示すとおり、そこからデュッセルドルフ、アントワープ、ワルシャワ、ドレスデン、ケルン、ブダペストなどへ小旅行した際の、観光記が大半を占めている。その観光記も、コンサート等の文化行事参加、美術館等の文化施設見学、建築物訪問が判で押したように延々と続き、紀行文というより当人の記録としての色彩が濃いと思う。合間に挟まれる食事、特にデザートの描写が救い。2020/08/02