内容説明
六人の作家の人生を見つめる目の確かさを感じさせる、六つの多彩な短編小説。
著者等紹介
平戸喜文[ヒラドヨシフミ]
1931年熊本県生まれ。大阪大学文学修士。熊本県立大学名誉教授。現在、「詩と真実」同人
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペグ
64
錚々たる作家6人の短編集です。トマス・ハーディ「妻ゆえに」は再読。やはり面白い。ヒュー・ウォルポール「版画」!愛と束縛を勘違いした妻と自分の思いを全うした夫の大きなすれ違い。好きな作品でした。最後のキャサリン・マンスフィールド「船の旅」は夜の11時半に出港して次の朝、まだ太陽が昇り切らない目的地までの船旅の様子を描いた作品。詩的で美しい言葉と情景の中に少女の人生を思い、胸を締め付けられる様な作品でした。おすすめの一冊です。2018/04/17
くさてる
23
タイトルに偽りなく、すべて名作のアンソロジーでした。それだけに既読のものもありましたが、やはりモームやマンスフィールドはいいなあ。そして、初読のウォルポール「版画」が、なんというかまあ。現代でも十分あり得る話でほんとうにもう。これはいまこそ広く読まれるべき話ではないかしら。良かったです。2022/06/26
星落秋風五丈原
20
六人の作家の人生を見つめる目の確かさを感じさせる、六つの多彩な短編小説。 2003/10/04
マツユキ
16
トマス・ハーディ『妻ゆえに』、ジョージ・ギッシング『めぐりあい』、ジョン・ゴールズワージー『フォーサイト家の宝』、サマセット・モーム『仕合せな男』、ヒュー・ウォルポール『版画』、キャサリン・マンスフィールド『船の旅』収録。どの作家も初めて読みました。家族、夫婦、お金など、シンプルだけど、尽きない悩み。国や、時代を超えて、身近に感じました。2022/09/05
みけのすずね
9
ヒュー・ウォルポール「版画」での夫婦のぶつかり合いというかすれ違いが印象に残った。寝言で「ああ、お前は美しい!」と叫ぶくらい夢中なものが、興味のない版画だなんて、自分にとって代わられるなんて…そしてそれがそんなに重要なことだなんて、一番側にいてもわからない。モームの「仕合わせな男」にしても、とらわれたものによって、生き方がかわってくるなあと考えた。それにしても相手がこうなはずだから自分がリードしなきゃ、という思い込みが一番こわい …こんなことを考えさせてくれるイギリスの短編集は読んだ甲斐があります。2015/02/07