内容説明
鬱蒼と茂る原始林の奥でマーロウが見たものは何だったのか。コンラッドの古典的傑作の新訳。
著者等紹介
岩清水由美子[イワシミズユミコ]
1957年長崎市生まれ。関西学院大学文学部英文学科卒業後、関西学院大学文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。イギリス近代文学専攻。弘前学院大学専任講師、助教授を経て、現在、長崎県立大学助教授
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
37
4冊、訳が違うものを読んできて「私にとってこの訳文がベストだ」と思いました。クルツの探索するまでの過程が穏やかなのに対し、新大陸に入っていくと原住民への嫌悪と恐怖、河馬の死臭の描写、嫌悪感を抱かせる俗物な支配人と船内でのギスギスしたやり取りにじわじわと追い詰められるような感覚を抱かされました。その分、クルツによって「心が広くなった」という少年の無邪気さと希望を捨てない婚約者の言葉がクルツの臨終の言葉である「恐い、恐いよ!」という文によって瞬時に空虚なものに変えられてしまう寒々しさが印象的でした。2014/08/14
やまはるか
18
再読 テムズ川に浮かぶ観光船の上でマーロウが河を船で遡ってアフリカ奥地に分け入った冒険談を語る。平底の外輪船で岩や倒木を避けながら薪を焚く蒸気でゆっくりと河を遡る。「もつれた暗闇の奥に裸の胸、腕、足、睨みつけている目が見えた―ジャングルが動く人間の手足で群れをなし、赤銅色の体で輝いているのだった」そこから矢と槍が飛んで来る。アフリカ奥地に入って象牙を集めるやり手のクルツが物語の主人公。マーロウが昔を語る形式を取ったことで、闇の奥がリアリティを持って甦る。2024/10/18
ガミ
1
全体的に難しくて、理解するのが大変でした。2012/04/07