クリック?クラック!

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784772703437
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ここには生きることすべてが満ちあふれている。全米で話題の作家ダンティカの世界。「National Book Award」最終候補作品。

著者等紹介

ダンティカ,エドウィージ[Danticat,Edwidge]
1969年、ハイチ生まれ。12歳のとき、先に渡米していた両親の後を追ってニューヨークに移住。バーナード女子大学卒業、ブラウン大学大学院修了。修士論文として発表した処女作Breath,Eyes,Memory(1994)が高い評価を得て、本格的な作家活動に入る。翌年に発表した短編集Krik?Krak!(1995)がNational Book Awardの最終選考にノミネートされたことで、その評価はより一層確かなものとなった。ピープル・マガジンやニューヨーク・タイムズをはじめ数多くのメディアから最も注目すべき若手アメリカ人作家の一人として絶賛されている。TVでもオプラ・ウィンフリーが大々的に取り上げ、ベストセラー作家に。最新作のThe Farming of Bones(1998)を含め、三作とも「女性」の存在に焦点を当てつつ、幼い頃のハイチの記憶をつむぎながらハイチ系アメリカ人女性作家としての独特な作風を創り出すことに成功している。文学界はもとより心理学や女性論の見地から幅広く取り上げられることも多い。創作、講演活動で多忙なかたわら、大学の講師や文芸雑誌の編集委員も務めている。

山本伸[ヤマモトシン]
1962年、和歌山県生まれ。立命館大学卒業、静岡大学大学院修了。学部の頃からアメリカ黒人文学に傾倒し、大学院在学中にニューヨークのコロンビア大学に留学、アフリカ、カリブへと関心を広げる。専門はカリブ文学。共編著書に『世界の黒人文学』(鷹書房弓プレス)、共著書に『地球村の行方』(新評論)、『浄土真宗と現代』(文理閣)、訳書に『20世紀の日本人―アメリカ黒人の日本人観1900―1945』(五月書房)がある。現在、四日市大学短期大学部助教授、「黒人研究の会」事務局長、NPO「グローバルネットワーク21」事務局員、「ポップカルチャー研究会」理事
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

77
ハイチ出身のアメリカ人作家による10篇。最初の〈海に眠る子どもたち〉は、「この青く深い海の底には、奴隷制の鎖から解き放たれ血塗られた地上から逃れた子どもたちが安らかに眠っている」という難民船に乗ってハイチを出て行った青年とクーデターで銃声の絶えない国内にとどまった女性の語りが交互に出てくる書簡のような小説だ。船のひび割れの黒いコールタールに黒い蝶がとても暗示的。「この自分が見て感じた景色を絵に閉じ込めておきたかった」という〈永遠なる記憶〉もいい。絵を小説に置き換えれば、この作家の意志の強さが見える。→2021/02/06

syaori

57
不思議なタイトルは物語が始まる合図。語り手が尋ねる「クリック?」 聞き手が答える「クラック!」 そうして始まる物語は、ハイチ系アメリカ人の作者の「血の中に脈々と息づく」ハイチの女性たちの記憶。独裁政権下で魔女として刑に服する母親、海に沈む難民船、生活のために夜ごと「天使」を待つ女、米国に移住したハイチの女性の故郷と米国とへの複雑な愛情。彼女たちは苦しみ、悩み、そんな人生の中の幸福を慈しみ、生きていて、母から娘へ、そのまた娘へと連綿と続く人の営みを、歴史を、「女たちの何千という心臓の鼓動」を強く感じました。2018/09/18

かもめ通信

20
再読。1969年にハイチに生まれ、12歳の時、先に渡米していた両親の後を追ってアメリカに渡り、以来、ブルックリンのハイチ系アメリカ人コミュニティで暮らすようになったという作家の短編集。収録されている物語たちは、そうした彼女自身の幼い日の記憶とともに、彼女の家族や身近な人々の記憶をたどりながら紡がれたものなのだろう。苛酷な状況下でのハイチの人びと、故郷の記憶を胸にアメリカで暮らす人々、さらにはアメリカ生まれ育ったハイチ系アメリカ人の想いやその暮らしぶりなどが、詩的なほど繊細なタッチで描き出されている。 2018/08/06

MOTORI

3
ハイチの女性たちの物語。彼女たちの人生は、私には想像すら難しいほどの険しさと悲しさがある。そして、それらと同じくらいの逞しさに励まされるように読んだ。2018/08/18

no6

2
ハイチの女性作家による本。 その国のことを知らなくても小説を読むことはできる。けれどもこの本に出てくる1937年という年に何があったのか、決して口にしてはいけない隣国の名前とはなんなのか。とてつもない恐ろしいことが起きたことは想像できるが、調べてみて身震いする。 タイトルは語り部と聴衆とのお決まりのやり取りらしい。ハイチでは女性が本を書くなどというのはとんでもないことであった。このハイチの、女性の視点からでしか書き得ない物語を通してその世界を知ることができたことを著者に感謝したいような気持ちに。2013/07/22

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