内容説明
超科学的心理はヒトの本質である。他人の視線を感じる…想い出のつまった物がある、外見は同じでも複製品には価値はない。そんなあなたは立派なスーパーセンサーです。
目次
1章 超自然現象を信じる心は、いかに生まれるか?
2章 殺人鬼のカーディガンを着るのは平気?
3章 天地創造説が受け入れられるわけ
4章 途方もなく騒がしい赤ちゃん
5章 マインド・リーディングの力
6章 つながる生気・本質・嫌悪
7章 若さや美しさというエッセンス
8章 なぜ大人になってもテディ・ベアを手放せない?
9章 誰かに見られているのがわかる
10章 ものはいかにして神聖な価値を持つか?
著者等紹介
フード,ブルース・M.[フード,ブルースM.][Hood,Bruce M.]
ブリストル大学実験心理学部認知発達研究センター所長。前職は、ケンブリッジ大学研究員を経て、マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員とハーバード大学教授を兼任。児童発達と認知神経科学の分野の研究で、数々の賞を受賞
小松淳子[コマツジュンコ]
翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
14
なぜ人は殺人鬼のカーディガンを着たくないと思うのか。人間がなぜ一見不合理な超自然的な存在を信じ、感じるのかに、科学的解説をした啓蒙書。本書の射程は広く、例えば超常現象研究や宗教学、民俗学や文化と人類学などにも強力なヒントを与えるだろう。本質主義の章なんて、大森荘蔵が他我問題をアニミズム的な視点からアプローチしたのを思い出させる。著者はドーキンスやデネットとは違い、そうした超自然的感性、スーパーセンスを人間が豊かな人生を送る上で不可欠なものと見ている。その柔軟性と明晰な文章も本書の魅力だ2011/12/26
6ちゃん
6
「超自然現象」として扱われる事柄(心霊現象とかご神体とか)に対して心理学的立場から説明した分かりやすい一般書。あくまでもそうした現象の有無に関わらず、人間が元来本質主義(物には特別な何かがあると思うこと)になりやすいことを説明しているのは、フェアでいかにも科学者らしい。本質主義は人間の発達段階に必要不可欠であるし、共同体の結束にも大きな役割を持っているとする説明は説得力があり、それだけにその副作用として発生する悲劇には暗澹とさせられる。誰もが科学的方法を理解して行動できるようになればなぁと思ってしまう。2011/11/11
in medio tutissimus ibis.
4
スーパーセンス、即ち超自然的な考えをヒトは生まれ以て持ち合わせていて、これは宗教などの文化によるものではないどころか、科学と共にそれはこの産物でさえある。その材料となるのは直観的パターン認識能力と本質主義=二元論そして共感能力であり、これらが過剰に敷衍されることによって、そして理性によるチェックを受け損ねることによって、スーパーセンスは非適応的な迷信を生み出す。自然な思考の産物である以上、教育などでこれを払拭することは不可能であり、人間を人間足らしめるもののひとつである以上は失ってならないものでもある。2018/08/30
米川青馬
4
読了。科学的思考が広まる現代にあっても、人はどうしたって超自然現象を信じてしまう。原因として上げられるのは、直感・ヒューリスティクス・バイアスだ。いまだに進化論を信じない人がいるのは、進化論が直感に反するから。誰もが殺人鬼のカーティガンを着たくないのは、生理的で直感的な嫌悪感から。芸術作品のオリジナルを所有したい気持ちや、処女とセックスすればHIVが治ると信じる南アフリカの人々の思考は本質主義の典型的な現れだ。結局、著者の言う「スーパーセンス」とは直感的思考(カーネマン的に言えばシステム1の思考)である。2013/04/06
kojisec.
4
幼少の頃にやった方は多いはず。他愛も無い「えんがちょ」ごっこ。このような遊びが、人間の本能にしっかりと根ざしたものであることが、本書を読んで成る程なあと感じることは出来た。2011/04/09