内容説明
捨てられる命、殺処分される命、食べられる命、動物園に展示される命…。動物の命の「光」と「影」に向き合い続けたひとりの公務員獣医師の目を通して、命の役割とは、命の尊厳とは何かを問う感動のノンフィクション。小学校高学年から。
目次
プロローグ とべ動物園
1 蔑まれた命
2 絶たれる命
3 命をいただく
4 命の展示
5 命の引っ越し
6 命の価値
7 命を預かる責任
8 命の終わり
エピローグ 未来への道標
著者等紹介
今西乃子[イマニシノリコ]
児童文学作家。児童書のノンフィクションを中心に執筆活動をしている。大阪府岸和田市うまれ。著書『ドッグ・シェルター』(金の星社)で、第36回日本児童文学者協会新人賞を受賞。執筆の傍ら、愛犬・未来を同伴して小・中学校を中心に『命の授業』を展開。日本児童文学者協会会員
浜田一男[ハマダカズオ]
写真家。1958年千葉県うまれ。東京写真専門学校(現ビジュアルアーツ)卒業。1990年写真事務所を設立。第21回日本広告写真家協会(APA)展入選。2010年から全国各地で「小さな命の写真展」の名称で写真展開催。『小さないのち―まほうにかけられた犬たち』(金の星社)が第21回けんぶち絵本の里大賞びばからす賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
75
児童書、ノンフィクション。愛媛県立とべ動物園の元園長、渡邉清一さんの体験から、動物の命について考える物語。▽清一は保健所の職員として、野犬狩りをした。住民の安全のために野犬の殺処分を行っていたが「犬獲り」と言われ周囲に恐れられた。その後、食肉衛生検査センターでと畜解体作業の仕事を行う。獣医師なのに命を救うのではなく殺す仕事をやってきた清一だった。動物園の獣医師として働き始めた清一は、動物園の引っ越しをやり遂げ、動物たちの命について深く考える。「死」は隠すものではなく、命の重さを考えることが大切だと訴える。2021/03/02
manamuse
21
獣医師免許を取ったからといって、憧れの獣医師になれるわけではない。野犬の捕獲やと畜場での検査などで、まさかの殺す側になることもある。この作品に登場する清一さんは、それらを経験したうえ動物園の園長や愛媛の愛護センター設立にも携わった方だ。人気者扱いの動物園の動物、食糧とされる牛や豚、棄てられて殺処分される犬や猫、命の重みは違うのか。すべては人間次第なのだ。2024/12/05
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
19
獣医師として、動物たちの命を救う仕事についたはずなのに、野犬対策するという逆の立場に配属された、公務員獣医師の渡邊さん。公務員の配属だから仕方ないとはいえ、次は食肉衛生センター、動物園、動物愛護センターと配属される。ペットや動物園で亡くなった動物たちは、みな悲しんでくれるけれど、ひっそりと亡くなっていく胴縁たちもいれば、食用目的で生かされている動物たちもいる。ノンフィクションであるのは分かっていましたが、写真や渡邊さんの言葉で涙が溢れてきました。今西乃子さんの文に間違いない!2020/02/18
麻ノ葉
16
獣医さんの仕事は単純に動物病院のお医者さんだけではないとしても、役所にいるとこんなことまで!という仕事があって驚いた。どの仕事も動物に接しているのに、立場によってその扱い方が全然違う。そしてその内容は、人間が決めているという現実。よくぞこの視点で本を書いてくださったと感謝したくなる。2021/11/06
ひめぴょん
13
獣医師の資格を持ち、狂犬病予防員、と畜検査員を経て動物園で働いた渡邊清一さん。命と関わる仕事を通じた苦悩に満ちた人生。こうして考え抜いて何かをやっていくということが大事なのだろうと思う。人間の行動はそのときそのときで矛盾に満ちていて、その矛盾が人を傷つける そんなエピソードも。子供向けのようでフリガナを振っている本。子ども向けというのは全世代が読めるし、全世代に読んで欲しいということでもあるのだと思う。以下は文中引用とミニ感想。 プロローグより。この地球上で生物の命を支配しているのは人間で、何の命をとり、2024/11/29
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