「逃げるな、火を消せ!」戦時下トンデモ「防空法」

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 223p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784772612821
  • NDC分類 391.38
  • Cコード C0030

出版社内容情報

「逃げるな、火を消せ!」のために、空襲被害を拡大させた防空法。空襲が予想される都市から、逃げることは、戦時中の“防空法制”によって避難は禁止されていた。「御国のために命を捨てて消火せよと強制された」、「徹底した情報統制と安全神話で、空襲は怖くないと宣伝されていた」というトンデモな防空法。
本書は、戦時中の市民がおかれた状況を具体的にイメージできるように、戦時中の出版物や写真をたくさん掲載して、この法律のあまりのトンデモさをリアルに理解できる本である。

第1章 「国民防空」のはじまり(昭和3年?昭和11年)
 戦争への熱狂をあおる「防空演習」
第2章  防空法の成立と改正(昭和12年?昭和16年)
 訓練から実践へ―進化する防空法
第3章  戦争の泥沼化と防空体制(昭和16年?昭和20年)
 逃げない国民、逃げられない国民
第4章  防空法がもたらした結末(昭和20年)
 気付いたときには遅かった―空襲被害

大前 治[オオマエオサム]
1970年生まれ。弁護士。大阪大学法学部卒業。鉄道会社勤務を経て弁護士に。大阪京橋法律事務所開業。自衛隊イラク派兵違憲訴訟、大阪市思想調査アンケート国賠訴訟の弁護団に参加し、憲法課題に取り組む。青年法律家協会大阪支部事務局長などを歴任。2015年6月から日本弁護士連合会立法対策センター事務局次長。大阪空襲訴訟では、戦時中の国策の解明を担当。各地での取材調査や国立公文書館での資料収集を行う。共著に『検証 防空法―空襲下で禁じられた避難』(法律文化社)、『大阪空襲訴訟は何を残したのか』(せせらぎ出版)がある。

内容説明

空襲にも安全神話があった!?空襲が予想される都市から逃げることは、戦時中の“防空法制”によって禁止されていた。「御国のために命を捨てて消火せよ!」「空襲は怖くない!」そして被害は拡大し、多くの国民が死んでいった…。この狂気を図版200点以上のリアルさで実体験してください!

目次

1 総力戦体制の確立(昭和三年~昭和十五年)―魅惑の防空演習と防空法、日常に入り込む戦争(日本初の防空演習;防空法の制定(昭和十二年三月三十日) ほか)
2 戦勝ムードのなかで(昭和十六年~昭和十七年)―空襲は怖くない、消火は簡単、防空は「国民の義務」(隠密に実施せよ―昭和十六年七月の「緊急処置」;「国民防空訓」―避難、退去は一切許さぬ ほか)
3 泥沼化する戦争(昭和十八年~昭和十九年)―猛火へ飛び込め、命を捨てろ、悲壮な防空指導(『時局防空必携』の改訂;決死の防空訓練 ほか)
4 無謀な本土決戦へ(昭和十九年~昭和二十年)―死んでもバケツを離さず、神がかりの防空美談(二年半ぶりの敵機来襲―北九州空襲;沖縄十・十空襲 ほか)
5 空襲の焼け跡を生きて…戦災孤児、空襲被災者の戦後(親を失った戦災孤児たち;毎日増えていく餓死者 ほか)

著者等紹介

大前治[オオマエオサム]
1970年生まれ。弁護士。大阪大学法学部卒業。鉄道会社勤務を経て、2000年に司法試験合格。大阪京橋法律事務所開業。自衛隊イラク派兵違憲訴訟、大阪市思想調査アンケート国賠訴訟の弁護団に参加し、憲法課題に取り組む。青年法律家協会大阪支部議長などを歴任。2015年6月から日本弁護士連合会立法対策センター事務局次長。大阪空襲訴訟では、戦時中の国策の解明を担当。各地での取材調査や国立公文書館での資料収集を行なう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

イボンヌ

8
タイトルの通り、とんでもない防空法です。ほとんど北朝鮮。2018/04/05

fukuokakomachi

8
戦時中、米軍の空襲や原爆投下後に傷ついて逃げ惑った人々、犠牲となった大勢の人達はつまるところ「非国民」だというわけだ。 本作と偶然本作の前に読んだ『天上の葦』を読むまでこんな非道な法律が存在したことを知らなかった。戦時中の真の敵は米国ではなく、国民を欺き、追い詰めた大日本帝国だったのではないか。 日本人自身であの戦争の総括すら行われず、責任者の多くは戦後平和に天寿を全うした。為政者もメディアも相変わらず大衆を見下し、人権・人命を軽んじる。バカげた法律にでも従わないと非国民だというなら私は非国民でいい。2017/08/25

ぞだぐぁ

5
戦時下の空襲への市民の対応の仕方の法律や報道、議論などを纏めた本。焼夷弾を自力で消化とか家の中に落ちたらスコップで捨てろとか突っ込みどころが多い法に対し、他国の事例を見た軍人や科学者等が理論的に否定しても暫定的な対応と言うことで立法。義務化したら消防団から市民に消化を移管し、逃げたら村八分になるように密告制の対象にするとか本文にもあるが現在にもこうなる風土が残っている印象を受けた。2016/11/30

hitotak

4
戦時中、国民に対して空襲時の消火活動を義務付けていた「防空法」という法律があった事を、当時の新聞記事や官報等を使って詳細に紹介している。焼夷弾は水と筵とハタキで消えるとか、消火に使う水が不足するから体にかけるな、焼夷弾が落ちた際素早く消火活動ができるように防空壕は軒下に作れとか、とにかく命の価値が軽い時代だった。焼夷弾を消すのは不可能なこと、手掘りの防空壕は安全ではないことを指導者たちは知っていたのに、空襲恐るるに足らず、と喧伝していたことを罪に問われることはなかったことの方がなんだか恐ろしい。2017/12/17

lovekorea

4
現在の知識・視点でもって過去を批判するのは本質的に『アンフェア』なものではありますが、それにしてもドイヒーな事例の数々にドン引きすること請け合いです。かろうじて範馬勇次郎氏ならば可能であるかも知れないレベルを民草に要求してますからな・・・( ̄◇ ̄;)2017/07/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/10434251
  • ご注意事項