内容説明
筆者は、子どもから大人まで診るベテラン精神科医として知られる。その四十年以上にわたる臨床経験から、クライエントの生活を支援するための支持的な面接を中心に、本書には「筆者の考える精神療法の基本」が述べられている。筆者は支持的精神療法について、「その人の生き方・考え方を変えようとするのではなく、『今、一生懸命に生きている、その人を支える』もの」であると述べる。そして、経験に基づいた面接の定石から、日常臨床で遭遇するピットフォール:落とし穴、思わぬ危険、さらに精神科臨床では不可欠な、クライエントの症状の把握から病名・診断の過程、適切な薬の処方のコツまで、日常臨床に応用可能な精神科医としてのtipが全編で語られる。
目次
第1部 精神科面接の基礎になること(支持的な面接のピットフォール;精神科医として自戒していること;貧困と孤立とこころの臨床;思春期・青年期を診る精神科医としての私の課題と難題;社会の中に生きる、「自閉症」のある人たち;小児期の発達障害支援の原則;就労支援という精神療法)
第2部 大人の発達障害とトラウマの臨床(大人の発達障害と精神療法、そして森田療法;精神病状態を反応性という視点から考えてみたらどうだろうか―統合失調症と自閉スペクトラム症;大人のトラウマの臨床から見えてくるもの;精神科臨床における大人の愛着障害;人薬・時薬・楽薬―若者と支援者へのメッセージ;追悼・中井久夫先生)
著者等紹介
青木省三[アオキショウゾウ]
1977年岡山大学医学部卒業、同大学医学部附属病院神経精神科研修医。2018年公益財団法人慈圭会精神医学研究所所長、川崎医科大学名誉教授。その間、1988、1990‐1991年、英国ベスレム王立病院(青年期ユニット)、モーズレイ病院、ロンドン大学精神医学研究所に留学。2006年オックスフォード大学グリーンカレッジ客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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