内容説明
本書は、臨床家が日々の面接に落とし込む際の精神療法の意義と役割について示しつつ、時間的・空間的制約が課されるなかでも、十分に精神療法的接近ができるようになることを目的とした、治療的戦略の書である。第1部では、著者が、主に強迫症などへの行動療法を専門としつつも、さまざまな流派の臨床家と交流する中で築きあげてきた精神療法家としての素地を柱とし、強迫症関連におけるDSM‐5やICD‐11改訂のポイント、神田橋症例検討会などの稀有な論題も含んでいる。第2部では、強迫症の多様な病態や不安症、ためこみ症に関する最新の知見などを症例とともに取り上げ、主要な行動療法スキルの解説、患者の脳画像から治療前後の変化を明らかにする研究などを紹介しており、実践的エッセンスも豊富な一冊となっている。
目次
第1部 心理面接における治療戦略(日常の面接で何を聴き、話し、残すか;治療関係の作り方―相手を理解することの大切さ;精神療法の役割;短時間の外来診療に行動療法のエッセンスを活かす;行動療法のスキルとは ほか)
第2部 各疾患・臨床像への応用(うつ病に対する行動活性化療法;不安症の認知行動療法;パニック症の認知行動療法;強迫性障害の認知行動療法;強迫性障害における“こだわり” ほか)
著者等紹介
中尾智博[ナカオトモヒロ]
九州大学大学院医学研究院精神病態医学教授。日本精神神経学会精神療法委員会委員。1995年九州大学医学部卒業。肥前精神医療センター、九州大学病院精神科などでの勤務を経て、2020年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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