内容説明
直木賞作家と臨床家がコロナ禍の10代の性、家族、教育制度、実存と幸福を語る!いつの時代でも子どもたちは生きづらい。そうであるならば、いまの子どもたちを苦しめ、生きづらさを感じさせているものは何か?昭和の時代の子どもたちと、今の時代を生きる子どもたちとの比較から、さまざまな課題が見えてくる。子どもを取り巻く社会、学校・教師、親などの固定化した価値観やシステムなどが、子どもの生きる力を圧迫している。変わらないシステムや固定観念を変えられない環境が、いまの子どもたちのニーズとマッチしていない。いじめやスクールカーストや人間関係に悩み、自己肯定感を持てない子どもたち。SNSの発達やコロナ禍により、日常生活に大きな変化がもたらされたいま、子どもたちが生き抜くために必要なものは何か、そして大人が本当にするべきことは何か?この時代を子どもたちがサバイバルするためのヒントを模索する。
目次
1 理解編―時代をまたぐ、普遍的な子どもたちの生きづらさ(生きる意味;一〇代へのバッシング ほか)
2 現状編―コロナ禍がもたらしたこと(コロナ禍が顕在化させたこと;性教育の必要性 ほか)
3 対応編―サバイバルのためのツールを探す(子どものシェルターを求める親;自己肯定感の低さ ほか)
4 鼎談を終えて(今の子どもたちは何が生きづらいのか 川場哲也;鼎談のあと 高橋良臣 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう
2
生きづらいことは悪いことではない。その時代にその生きづらさがあり、むしろ生きづらさを感じないことの方が問題と感じる。 そういえば、精神科医のA先生が仰っていた。いつの日からかTVニュースのコメンテーターが文学者から脳科学者や精神科医にかわった。文学者のコメントの方が科学的で人間的だった。天童氏の「常識を疑う」小説家としての批評もまさにその通りだった。2022/06/28
空野とり
1
生きづらいが「4にたい」になりやすい世の中だと思う。何がしたいかわからない子は多い2022/11/10
りょく
1
ここで語られる「子どもたち」と自分の10代の頃の実感の奇妙な齟齬を感じながら、しかしどの時代も子ども達はきっと生きづらかったのだということに大きく賛同して読み進めた。子どもたちの生きづらさとは実存の問題であり、それはしばしば親・保護者の不安と共振している。また身体感覚の喪失による存在実感の薄さはたしかにあるような気もする。 結局、子どもたちが生き抜くためには「好き」を貫くことだという結論だったようだが、対談者たちの好きと若い世代の好きの熱量や情熱の傾け方は果たして同じなのかというようなことを思った。2022/09/30