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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
35
著者にはトラウマを個人の領域に限定しようという明確な意図があります。阪神大震災、地下鉄サリン事件といった災害や事件が言語化される風潮がありますが、それは日本独自の文脈であると批判します。暗に村上春樹が批判されているのは明らかで、こう書くとなかなか読み辛い本だという印象はその通りです。後ろから読みましたが、それは読み易い男性の被害が後ろの方に書いてあるからです。「男性の非虐待経験者の場合、危険なスポーツにのめり込むといったことも見られる。」創造的な行為としての登山を摂食障害の様にとらえる視点は予想外です。2020/12/11
くさてる
18
精神科医であり医療人類学者による、さまざまな論考。トラウマ、性被害、ジェンダー、傷。ひとつひとつのテーマだけで一冊の本が書けるようなものだけに、ここで語られているのはあくまで断片的なものになってしまうけれど、それでも、重く苦しいテーマに向ける著者の誠実な視点と限界を知る謙虚さが印象的だった。エイミー・ベンダーとの対話と創作の部分も面白かった。良い本です。2021/07/14
ゆるこ
5
トラウマについてもっと分かりたくて知りたくていろんな本を読んでるんだけど、読めば読むほどわからないということがわかるばかり。 トラウマにどう対応すればいのか、分かりやすいハウツー本をどこかで求めてた自分は、途方もなく深くて広くてグロテスクで豊かな世界を垣間見て、読み終わって今はただ呆然と座り込んでいる感じ。2021/06/08
azu3
4
相変わらず、中身が濃いね。エッセイ一本一本の熱量が高く、それらが集められているので、当然か。今回、エイミー・ベンダーに興味を持った。読んでみたい。2020/11/10
たろーたん
2
面白かったのは『DVとトラウマ』。著者は、公私の二分法を公的領域、親密的領域、個的領域の三分法として捉え直す。公的は従来のそれで、親密領域は恋愛や愛着で繋がる人間関係。個的領域は、自分の為だけの自由な時間や空間で、あるがままでいられる居場所。この三つに分けることで見えるのは、DVは親密的領域における暴力と支配であり、それによって相手の個的領域を奪う行為であると捉えられる。つまり、加害者の監視やメールチェック、部屋の点検等で加害者の存在を常に感じ、その結果、自分が息をつける個的領域がなくなるのである。(続)2024/09/25
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