内容説明
ロールシャッハ法の長所と限界を巡る多くの議論の中で、包括システム(CS)が、ロールシャッハ法そのものと同一のように論じられ、結果として、CS以外にもスコアリング法が存在するという事実には目を向けられなくなってしまった。このような事柄を踏まえ、本書の編者らは、CS以外のさまざまなスコアリング法と解釈に焦点を当て、充分な妥当性のある一級の研究を示すことで、ロールシャッハ法の研究は批評家が認めているよりも広汎なものであるという事実を明らかにしている。各章では、思考障害指標、対象概念尺度、口唇依存尺度、一次過程尺度、Lernerの防衛尺度、Klopferの予後評定尺度、Barrier‐Penetrationシステムといった個別のスコアリング法について論じられている。かつて、さまざまな原典に散在していたこれらのスコアリングと解釈のガイドラインは、その多くが今はもう読むことができない。臨床家や研究者はこの一冊を読むことで、ロールシャッハ法への7つのアプローチに触れ、ロールシャッハ法の研究と実践のさらなる発展に役立てることができる。
目次
第1章 ロールシャッハのスコアリング:回顧と展望
第2章 ロールシャッハ予後評定尺度
第3章 形式的思考障害の査定のためのロールシャッハ技法の使用
第4章 ロールシャッハ尺度における対象の概念
第5章 ロールシャッハ口唇依存尺度
第6章 ボディイメージ、身体像境界、およびBarrierとPenetrationロールシャッハスコアリングシステム
第7章 一次過程スコアリングシステム
第8章 防衛とその査定:Lerner防衛尺度(The Lerner Defense Scale)
著者等紹介
ボーンスタイン,ロバート・F.[ボーンスタイン,ロバートF.] [Bornstein,Robert F.]
1986年にバッファローのニューヨーク州立大学で臨床心理学分野の博士号を取得し、現在ゲティスバーグ大学の心理学教授である。パーソナリティアセスメント、パーソナリティ障害及び無意識の心的過程に関する膨大な論文を執筆した。また、パーソナリティアセスメントに関する著述を寄稿したことについて、1995年、1999年及び2003年にSociety for Personality Assessmentから賞を受けている
マスリング,ジョセフ・M.[マスリング,ジョセフM.] [Masling,Joseph M.]
バッファローのニューヨーク州立大学の心理学名誉教授である。投影法検査における対人的、状況的変数に関する膨大な論文を著し、また、精神分析の概念に関する実証研究の広範にわたる著書を出版している。パーソナリティアセスメントに関する生涯にわたる実績により、Society for personality assessmentから、1997年のBruno Klopfer Awardを受けている
溝口純二[ミゾグチジュンジ]
1978年、上智大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。臨床心理士。現在、東京国際大学大学院臨床心理学研究科教授
北原裕一[キタハラユウイチ]
2005年、東京国際大学大学院臨床心理学研究科博士課程前期修了。臨床心理士/公認心理師。現在、名古屋刑務所分類審議室調査専門官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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