内容説明
インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く―。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは、「大小」というサイコロ博奕に魅せられ、あわや…。1年以上にわたるユーラシア放浪が、今始まった。いざ、遠路2万キロ彼方のロンドンへ。
目次
第1章 朝の光―発端
第2章 黄金宮殿―香港
第3章 賽の踊り―マカオ
対談 出発の年齢(山口文憲・沢木耕太郎)
1 ~ 6件/全6件
- 評価
テレビで紹介された本・雑誌の本棚
- 評価
新聞書評(2017年)の本棚
- 評価
新聞書評(2018年)の本棚
- 評価
仕事と通勤の隙間に、少しだけ世の中を考える本棚
- 評価
pure-oneの本棚
- 評価
-
俺の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
756
再読。なんと言ってもネーミングの勝利だ。『深夜特急』第1便であってこそ、これほどに読者を引き付けるのだろう。これが『世界放浪記』第1回であったなら、たとえ内容は同じであったとしても、読者への訴求力はずっと弱かっただろう。かといって、本書がネーミングだけのものだと言うつもりはない。例えばマカオのカジノで、賭事には全く興味がなかったはずの「私」が、大小と呼ばれる賭博にのめり込んで行く時の自他を含めた観察眼と、そこに読者をも巻き込んで行く沢木の筆力とスピード感。これが単なる旅の記録と、紀行文学とを分つのだ。2013/01/29
ミカママ
575
この作品を読んで、いったいどれほどがザックを背負って飛行機に飛び乗ったろう。全六冊手に入れたときには、おぃおぃ六冊って、『グリーンマイル』じゃあるまいし、だったのだが、読み出したら夢中だった。特に今作は、わたしも空気感がわかる世界。香港の街の飲茶屋やアバディーン、マカオではホテル・リスボア、筆者が歩いた約十年後に、わたしもその足跡をなぞっていたのだと思うと。無謀とも言える彼の旅、いたる所で幸運に助けられるのも、彼の持って生まれたツキと人当たりの良さの賜物だろう。2020/11/14
抹茶モナカ
562
26歳の若者の一人旅の紀行文。香港とマカオでの様子が書かれていて、マカオのカジノでの博奕の模様が、最初、「おいおい。」と、思って読んでいたら、引き込まれてしまった。もっと若い頃に出会いたかった本。バックパッカーのバイブルと名高い名作。2015/10/12
ehirano1
457
ワクワクが止まりません、流石名著と言われるだけのことはあるなと感服しました。開口健の「オーパ」でもそうでしたが、もう完全に脳内で著者と一緒に旅していますwww。こういうの楽しいぃ~~~。2023/04/03
やすらぎ
445
予定などいっさい立てるまい。数日間の国内旅行程度の荷物で旅立った。さて、これからどうしよう…幸せだった。自分から話し掛けなければ外部から切り離されたひとりだけの時間を過ごすことができる。ある種の無重力状態は、刺激もないかわりに奇妙な安らぎがあった。…香港の熱量とマカオの臨場感、誰しもが陥るリスクのある街。人のため学問の進歩にも役立たず、真実を極め記録を作るためでもなく、血湧き肉躍る冒険でもなく、何の意味もなく誰にも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことをやりたかったのだ。旅は生きている。2021/04/21