出版社内容情報
アディクション(嗜癖行動)は,誰にでも起こる可能性があるとてもやっかいなものである。気がつかない間にゆっくりと進行し,生活のすべての面に影響をもたらし,治療や予防が非常に難しい。
本書では,薬物摂取による脳や身体への影響や耐性・離脱症状などの生物学的基礎,社会学習モデルと自己制御能力の障害についての理論と研究を紹介し,アディクションについて広範な視点から明瞭にわかりやすく説明する。また著者らは,その行動をより深く理解するために,選択と意思決定に注目し,自動認知プロセスと制御された認知プロセスによる二重システム理論という統合的なフレームワークを提唱する。続く章では,上記の知見から導かれた薬理学的・医学的アプローチ,心理社会的アプローチが述べられ,さらにアディクションを予防することの重要性とともに,さまざまな戦略が示される。
初学者でも読み進めやすいように,各章のはじめに内容の要点を提示し,重要な概念や考え方の傍証として,「科学的に考えよう」というコラムが随所にちりばめられている。また,巻末には専門用語を簡潔に解説した用語集も付されている。
アントニー・C・モス[アントニーシーモス]
カイル・R・ダイヤー[カイルアールダイヤー]
橋本 望[ハシモトノゾム]
内容説明
アルコール、覚せい剤、大麻、ギャンブル、インターネット…いつの間にかのめりこみ、苦しみながらぬけられない。その心と身体のサイエンス。薬物摂取による脳や身体への影響や耐性・離脱症状などの生物学的基礎、社会学習モデルと自己制御能力の障害についての理論と研究を紹介し、アディクションについて広範な視点から明瞭にわかりやすく説明。その行動をより深く理解するために、選択と意思決定に注目し、自動認知プロセスと制御された認知プロセスによる二重システム理論という統合的なフレームワークを提唱する。
目次
第1章 アディクションとは何か?
第2章 アディクションの生物学
第3章 学習された現象としてアディクションを理解する
第4章 アディクションを制御の問題として理解する
第5章 アディクションの自動性を理解する
第6章 アディクションに対する治療選択肢
第7章 アディクションに対する主な予防戦略
第8章 アディクションの統合モデル
用語集
著者等紹介
モス,アントニー・C.[モス,アントニーC.] [Moss,Antony C.]
ロンドン・サウスバンク大学心理学科の上級講師。嗜癖行動の認知的側面に焦点を当て、嗜癖行動の始まり、維持、消失の理解に、決定理論を応用する研究を行っている
ダイヤー,カイル・R.[ダイヤー,カイルR.] [Dyer,Kyle R.]
英国キングスカレッジロンドンの精神薬理学者で、サウスバンク大学の客員研究員。キングスカレッジロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所の遠隔教育プログラムの責任者であり、FutureLearnが配信するアディクションの無料オンラインコース「Understanding Drugs and Addiction」の主任講師である
橋本望[ハシモトノゾム]
精神科医。平成16年に岡山大学医学部医学科卒業後、岡山赤十字病院にて卒後臨床研修を修了し、平成18年より岡山県精神科医療センターにて精神科医師として勤務する。平成24年から平成27年まで岡山県精神科医療センター依存症精神科医長。平成27年9月から平成28年9月までキングスカレッジロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所アディクション部門、英国国立ギャンブルクリニックへ留学。現在、岡山県精神科医療センター依存症精神科勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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