出版社内容情報
個人心理療法の実践を積み重ねてきた執筆者らにより,重篤なこころの「病」を抱えたクライエントとの心理療法過程が描き出される。重篤なこころの「病」を抱えたクライエントと向き合う精神科臨床現場において、臨床心理士はどのようにかかわることができるのか。
本書では、編者らが主宰する研究会での「事例報告・事例検討・事例研究」を通してお互いに研鑽を積んだ執筆者らによって、クライエントとの心理療法過程が描き出される。
第?部では、臨床心理士の職業的専門性や多職種との協働、また心理療法を行なう際の態度や姿勢についてなど、その基本的な方法を述べ、さらにクライエントと臨床心理士による心理療法という関係性のより中核的、本質的な問題を探っていく。第?部は、第?部での理論や方法を背景とした「こころの「病」に対する心理療法」の臨床実践の報告となっている。そこでは、統合失調症をはじめとする精神病圏や発達障害圏、その他さまざまなこころの「病」に苦しむクライエントの事例が克明に報告され、臨床心理士の仕事とそれを支える理論的背景について考察される。
エビデンスや表面的な治療効果の追求の陰で、臨床心理士の仕事の本質的な意味が、ともすれば忘れられがちであろう。しかし、その意味を問い続け、クライエントと向き合い続けている執筆者らが本書で示す日常臨床の経験と思索の記録からは、多くの気づきと学びが得られるに違いない。
渡辺 雄三[ワタナベ ユウゾウ]
山田 勝[ヤマダ マサル]
?橋 蔵人[タカハシ クラト]
石黒 直生[イシグロ ナオキ]
内容説明
重篤なこころの「病」を抱えたクライエントと向き合う精神科臨床現場において、臨床心理士はどのようにかかわることができるのか。本書では、編者らが主宰する研究会での「事例報告・事例検討・事例研究」を通してお互いに研鑽を積んだ執筆者らによって、クライエントとの心理療法過程が描き出される。
目次
第1部 こころの「病」と臨床心理士の方法―私たちが考える心理療法(臨床心理士の仕事の方法;精神科医療と臨床心理士;こころの「病」と心理療法;クライエントと臨床心理士と心理療法)
第2部 こころの「病」と心理療法の実際―私たちが実践している心理療法(ともに生き残る―慢性統合失調症の女性との心理療法;「私は理解されたいのです」―ある統合失調症の女性との心理療法から学んだこと;“自分”を追い求め続けた女性との心理療法―弥勒(ミロク)の世界と日常とのあいだで
こころを多面的にみていくこと―主体性を見失っていた女性との心理療法を通して
生まれ出てくるものへの恐れと生み出すことへの渇望―思春期女性とのイメージを活かした心理療法
考える存在として、居つづけること―「世話役」として生きる青年期女性との心理療法をめぐって
こころをみつめることの難しさ―摂食障害の女性たちとのかかわりを通して
こころの花に水をやる仕事―生きることにかかわる二事例
自閉スペクトラム症の女性との心理療法―間主体生成論の観点から)