出版社内容情報
心理療法について論じた本は多くあるが,心理療法のセッションをありのままに記述した本は稀にしか存在しない。ポール・ワクテル自身による3セッションの逐語録を詳細な解説とともに収録した本書は,ワクテルがリードしてきた統合的心理療法をケースで学べる理論書であり,「心理療法において本当は何が起こっているのか?」を具体的ケースに即して検証する臨床実践書でもある。
精神分析と行動療法を基礎として,他のさまざまな学派との接触を糧に改訂を繰り返し,認知行動療法,システミック・アプローチ,ヒューマニスティック・アプローチの要素を併せ持つに至ったワクテルの統合的心理療法は,『心理療法の統合を求めて――精神分析・行動療法・家族療法』『心理療法家の言葉の技術[第2版]――治療的コミュニケーションをひらく』(いずれも金剛出版)の理論的考察を経て,ついに本書においてその具体的な実践スタイルを明らかにする。ページをめくるたびに,セラピストの耳の傾け方,言葉の使い方,表現のニュアンス,共感の示し方,クライエントへの注目,治療関係の築き方がワクテル自身のコメントとともに披露され,単純にマニュアル化することができない心理療法のより深い理解に読者を誘う。
統合的心理療法をリードしてきたワクテルが自らのセッションを披露した,一歩上を行く心理臨床をマスターするための必読書。
第1部-基礎となる前提と原理
1 地面の視点から見た心理療法
2 2つの頭のなかで――トゥー・パーソンの視点ならびに理論と実践に対するその示唆
第2部-セッション
3 ルイーズ――セッション1
4 ルイーズ――セッション2
5 メリッサ
第3部-考察
6 セッションを振りかえって
【著者紹介】
京都大学学生総合支援センター・教授
内容説明
耳の傾け方から、言葉の使い方、共感の示し方、クライエントとの治療関係の築き方まで、統合的心理療法をリードするワクテルが自らの実践スタイルをすべて公開する。一歩先を行く心理臨床をマスターするための必読書!
目次
第1部 基礎となる前提と原理(地面の視点から見た心理療法;2つの頭のなかで―トゥー・パーソンの視点ならびに理論と実践に対する示唆)
第2部 セッション(ルイーズ;メリッサ)
第3部 考察(セッションを振り返って)
著者等紹介
杉原保史[スギハラヤスシ]
京都大学学生総合支援センター長(教授)、京都大学博士(教育学)、臨床心理士。1989年京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。1990年大谷大学文学部専任講師。1996年京都大学保健管理センター講師。2000年京都大学カウンセリングセンター講師。2007年京都大学カウンセリングセンター教授。2013年京都大学学生総合支援センター教授。2015年京都大学学生総合支援センター長
小林眞理子[コバヤシマリコ]
京都大学教育学部教育心理学科卒業。京都市立紫野高等学校英語科教諭として国際交流や留学生への日本語教育に携わった後、日本語教師としてオーストラリアの永住権を取得し渡豪。NSW州の私立校で幼稚園から高校3年生までの生徒に日本語を教えるかたわら、NAATI(National Accreditation Authority for Translators and Interpreters:オーストラリア翻訳・通訳資格認定機関)公認翻訳士として主に産業翻訳に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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