出版社内容情報
転移-逆転移,抵抗,夢解釈の概念,精神病圏,気分障害,パーソナリティ障害,倒錯などの症例を考察し,現代クライン派精神分析の臨床的発展を論じる。
メラニー・クライン,ウィルフレッド・ビオン,そしてドナルド・メルツァーへと連なる現代クライン派精神分析は,精緻な理論考察と着実な臨床報告によって,今日の精神分析的精神療法の礎を築いてきた。その延長線上にある本書では,重要文献の精読,タヴィストック・クリニックでの研修,そして日々の臨床経験を総合して,現代クライン派精神分析の臨床的発展をめぐる基礎考察が展開される。
第1部「現代クライン派の基本的臨床理解と技法」では,患者の内的世界における治療者のポジション(第1章),逆転移とエディプス状況との連関(第2章),クライン派において稀にしか主題とされなかった「抵抗」概念(第3章),フロイトとは対照的なクライン派による夢解釈(第4章),精神分析における時間論と“Here and Now”論考(第5章)など,精神分析的精神療法の適用症例を素材に、現代クライン派の理解とアプローチを総括的に論じる。第2部「臨床的主題と考察」の前半では,統合失調症,精神病圏,気分障害,パーソナリティ障害,倒錯など,症候に即した精神分析的な理解を論じる。第2部後半では,現代クライン派の枢軸を成すドナルド・メルツァーの理論と臨床を,『精神分析過程』『こころの性愛状態』『閉所』などの主著に即して総覧する。そして第3部「精神医療と精神分析」では,現代クライン派の精神分析的解釈を援用した臨床例について,「行動化」(第1章),境界性パーソナリティ障害(第2・3章)を主題として論じている。
理論と臨床が交差する“来たるべき精神分析”のための臨床序説。
第1部 現代クライン派の基本的臨床理解と技法
第1章 クライン派の技法の80年
第2章 逆転移の経験とワークスルー
第3章 クライン派から見た抵抗と治療
第4章 夢の機能と夢解釈の技法
第5章 精神分析における理解と変化のための時間
第2部 臨床的主題と考察
第1章 精神分析の動向
第2章 重度の病態を有する患者の精神療法
第3章 精神分析から見た統合失調症の精神療法過程
第4章 気分障害
第5章 妄想性パーソナリティ障害
第6章 精神療法と倒錯の問題
第7章 メルツァーの発展
第8章 ドナルド・メルツァー『こころの性愛状態』
第9章 母親の秘密の小部屋の住人たち
第3部 精神医療と精神分析
第1章 行動化について
第2章 境界性パーソナリティ障害の臨床
第3章 パーソナリティ障害と精神分析的精神療法
【著者紹介】
恵泉女学園大学/代官山心理・分析オフィス(個人オフィス)
目次
第1部 現代クライン派の基本的臨床理解と技法―タヴィストック・クリニックでの経験を振り返って(クライン派の技法の80年;逆転移の経験とワークスルー;クライン派から見た抵抗と治療 ほか)
第2部 臨床的主題と考察(精神分析の動向―英米圏;重度の病態を有する患者の精神療法;精神分析から見た統合失調症の精神療法過程 ほか)
第3部 精神医療と精神分析(行動化について―「変形理論」(Bion)の観点から
境界性パーソナリティ障害の臨床
パーソナリティ障害と精神分析的精神療法)
著者等紹介
福本修[フクモトオサム]
1982年東京大学医学部医学科卒業、1990年静岡大学保健管理センター助教授、1993年The Tavistock Clinic(London)留学。Inter‐disciplinary Training in Adult Psychotherapy for Professional Workers in Health and Social Services(M1)、Programme Associate、1995年M1 Course Associate、2000年同修了、2000年恵泉女学園大学人文学部教授、現同大学人間社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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