出版社内容情報
ゲシュタルト療法の第一人者たちが「ゲシュタルト療法とは何か」を語る! 読後には多くの治療的介入の手がかりを発見することができるだろう。
ゲシュタルト療法では,“今,ここ”という概念を現在性(presentness)といって重視する。その現在性こそが,クライエントの理解につながる介入手がかりの宝庫だからである。しかし,“今,ここ”という概念には,過去の経験や念い,また部分と全体との繋がりをも含有している。つまり“今,ここ”を見ながら,今までの過程や全体との繋がりを見る洞察力が問われるのである。それには“今,ここ”において,どのような語りや非言語的仕草に注目するか,そのセラピストの蓄積された心理臨床の経験や人生における知恵が大きく寄与する。本書では,その達人たちの“今,ここ”についての,一見単純に見えるが深淵な論考を集めた。読後には多くの治療的介入の手がかりを発見することができるだろう。
プロローグ 倉戸ヨシヤ
第1章 ゲシュタルト療法とは
ゲシュタルト療法とは 倉戸ヨシヤ
心理臨床における“今,ここ”―ゲシュタルト療法家の覚え書き 倉戸ヨシヤ
第2章 “今,ここ”の心理臨床
スピリチュアルな経験 倉戸ヨシヤ
性暴力サバイバーの恐怖からの回復―エンプティ・チェアによる“今,ここ”での未完結ゲシュタルトの完結 倉戸由紀子
スーパーヴィジョンにおける“今,ここ”の意味と効用―逆転移の処理と不安への対処を中心に 井上文彦
ソブラエティと「今,ここ」 利根川雅弘
周産期の“今,ここ”―新生児集中治療室の心理臨床から 岡田由美子
“今,ここ”を生きるからだ 原口芳明
精神科クリニックにおける“今,ここ”を重視した介入 中西龍一
情緒障害児短期治療施設の親対応において,ゲシュタルト療法訓練が“今”になって役立っていること 宮井研治
第3章 “今,ここ”を重視した医療
外来診察室における“今,ここ”の心理療法 土本薫
第4章 “今,ここ”を重視した教育
国語教育における「こちら側」の「今,ここ」 西村芳和
「今,ここ」に生きる読み方―受験指導との統合をめざして 中野正樹
第5章 ゲシュタルト療法のスーパーヴィジョンを受けて
ゲシュタルト療法と私の成長 中西美和
セラピストの基本的態度とゲシュタルト療法―セラピー,そしてスーパーヴィジョンを受けて 原谷直樹
エピローグ 倉戸ヨシヤ
【著者紹介】
倉戸ヨシヤ:福島学院大学教教授・大阪市立大学名誉教授