精神疾患の脳科学講義

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精神疾患の脳科学講義

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  • サイズ A5判/ページ数 204p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784772412629
  • NDC分類 493.7
  • Cコード C3011

出版社内容情報

「うつ病=セロトニン不足」この単純化されたモデルを,近年の研究成果に基づき更新し,臨床に活かせる知見として紹介する。

  「うつ病=セロトニン不足」「統合失調症=ドーパミン過剰」
  このような単純な図式は真実であろうか。本書の結論から言えば,「脳科学」「神経科学」だけで精神疾患を捉えることは,事実上不可能である。脳はあまりにも複雑であり,精神疾患を要素還元主義で説明し尽くすことはできない。
  それでは,精神疾患を脳科学で捉えることが無意味かというと,そんなことはない。近年の脳科学や神経科学には長足の進歩があり,精神疾患についてもずいぶんと「部分的」に明らかになっている。「部分的」ではあっても,精神疾患の本質を捉えるヒントや新しい診断法や治療法に結びつく知見が次々に見つかっている。
本書では,代表的な精神疾患である統合失調症と気分障害をとりあげ,
  統合失調症には,その認知機能から広範にわたる非特異的な高次脳機能障害があると捉え,その遺伝的そして環境的要因を述べる。また,「金閣寺炎上僧」を通じて,その発病過程に迫る。
  気分障害では単極性うつ病を中心に,その病因において重要な役割を果たす環境要因,とくに「ストレス」の脳科学的側面を解説する。ストレスに対する人体の反応から,うつ病はそのホルモン異常であるとし,その病的過程・治癒過程のモデルを提示する。
  近年では,予防・再発防止にクライエントの生活習慣への介入が重視されている。そこで生活のなかでもとくに食事に焦点をあて,「精神栄養学」と呼べる知見からの介入を紹介する。
  医学・脳科学“非”専門家のための全12回脳科学講義。

第1回 統合失調症は認知症か?
第2回 統合失調症は広汎性非特異的高次脳機能障害である
第3回 統合失調症の脳形態異常―マクロとミクロから見えてくること
第4回 統合失調症はどこからくるか―遺伝と環境の病因研究
第5回 統合失調症の発病過程―金閣寺炎上僧を通じて
第6回 妄想をつくりだすドーパミン―その統合失調症における働き
第7回 うつ病=“慢性”ストレス性精神疾患―ストレスホルモンの果たす役割
第8回 うつ病におけるモノアミンと神経栄養因子
第9回 ドーパミンの威力と魔力
第10回 慢性疲労症候群・線維筋痛症・非定型うつ病―ストレスホルモン不足による病態
第11回 ストレスホルモンと恐怖記憶―トラウマの脳科学
第12回 精神栄養学と生活指導―精神疾患と食生活,運動,睡眠

【著者紹介】
国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長。
1986年東京大学医学部卒。1994年ロンドン大学精神医学研究所留学。1998年帝京大学医学部精神神経科学教室講師を経て,2002年より現職。医学博士,精神保健指定医,日本精神神経学会指導医。日本生物学的精神医学会評議員,日本統合失調症学会評議員、日本神経精神薬理学会評議員ほか,“Molecular Psychiatry”誌や“Journal of Psychiatric Research”誌のEditorial Boardなどを務める。
『図解 やさしくわかる統合失調症―正しい理解と付き合い方』(ナツメ社),『ストレスと心の健康―新しいうつ病の科学』(翻訳)培風館,『精神疾患は脳の病気か?―向精神薬の科学と虚構』(監訳)みすず書房,『統合失調症100のQ&A―苦しみを乗り越えるために』(共訳)星和書店,ほか共著書多数。精神疾患に関する英文論文200編以上。

内容説明

近年の脳科学や神経科学には長足の進歩があり、精神疾患についてもずいぶんと「部分的」に明らかになっている。「部分的」ではあっても、そこには精神疾患の本質へのヒントや新しい診断法・治療法の開発に結びつきそうな知見が多数存在する。本書では、統合失調症を「高次脳機能障害」と捉え、『金閣寺炎上僧』を通じてその発病過程を解き明かす。また、うつ病はストレスに対する免疫反応であるとした視点から、脳そして内分泌系での現象を詳解する。また、ストレスホルモン不足による病態、トラウマの脳科学、そして食事と精神疾患の関係を捉える“精神栄養学”についても解説する。

目次

統合失調症は認知症か?
統合失調症は広汎性非特異的高次脳機能障害である
統合失調症の脳形態異常―マクロとミクロから見えてくること
統合失調症はどこからくるか―遺伝と環境の病因研究
統合失調症の発病過程―金閣寺炎上僧を通じて
妄想をつくりだすドーパミン―その統合失調症における働き
うつ病=“漫性”ストレス性精神疾患―ストレスホルモンの果たす役割
うつ病におけるモノアミンと神経栄養因子
ドーパミンの威力と魔力
慢性疲労症候群・線維筋痛症・非定型うつ病―ストレスホルモン不足による病態
ストレスホルモンと恐怖記憶―トラウマの脳科学
精神栄養学と生活指導―精神疾患と食生活、運動、睡眠

著者等紹介

功刀浩[クヌギヒロシ]
国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長。1986年東京大学医学部卒。1994年ロンドン大学精神医学研究所留学。1998年帝京大学医学部精神神経科学教室講師を経て、2002年より現職。医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会指導医。日本生物学的精神医学会評議員、日本統合失調症学会評議員、日本神経精神薬理学会評議員ほか、“Molecular Psychiatry”誌や“Journal of Psychiatric Research”誌のEditorial Boardなどを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひろか

4
怪しげな脳科学の本は後を絶たないが、本書はいたって本気で真面目、かつ医学者でなくても、わかりやすいよう工夫されなが、精神疾患(統合失調症とうつが中心だが、PTSDや依存なども一部記述あり)の脳科学である。「うつ病はセロトニン不足」というのは、なぜは巷にあふれているが、間違った情報である。精神疾患の周辺で仕事をする人は必読ではないか。また、薬物療法に懐疑的な家族・当事者が読めば、薬物療法の理解も進むだろうか。2012/07/22

カイザー

1
精神疾患をフィジカルの側面からも理解し、見ていくことは重要だと常々思っています。こちらの本は脳機能について、基礎知識が薄くてもわかりやすく書かれており、大変勉強になりました。2020/05/20

シロクマとーちゃん

1
これはもともと臨床心理学の専門誌に連載された講義がもとになっているので、臨床医を志す人が読んでもためになる本。医学の世界の通説でも、実は根拠が薄いものがある。それらに変わる、より説得力のある説を説明している。2014/01/25

taba

1
脳科学と言うとへんてこなものが増えているが、これはちゃんとした本。裏付けを元に現在の仮説を説明するだけでなく、仮説の問題点なども書かれている。脳科学的に精神疾患を理解・治療するにはまだ時間がかかりそうだ。2013/06/23

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