内容説明
本書では、統合失調症犯罪における責任能力の判定をより客観的に行うことができるよう、犯行時の病的体験、精神病質素因、論理構造変化、衝動攻撃性などの要因を変数とした精神鑑定の公式を提示する。そして著者は、この標準化によって、鑑定の平明性、公平性が担保され、また、個々の要素を検討することによって犯行についての理解が深められ、より妥当な責任能力判定を導くことができると説く。また、統合失調症者に独特な論理構造に着目し、状況の認識能力の低下が行動化に及ぼす影響についての考察も展開している。さらに、ストレス緩和のための方策として気功による介入法を紹介し、病気と病者に対する総合的な理解に向けた著者の姿勢を示す。
目次
第1部 統合失調症犯罪における責任能力と犯罪類型、および非触法統合失調症者の認知・攻撃性(統合失調症犯罪者における責任能力の予測可能性の検討;統合失調症犯罪の類型に関する数量的研究;個別事例の検討;非触法統合失調症者の認知・攻撃性の認知心理学的研究;非触法統合失調症者の認知・攻撃性に関する統合的研究―生化学指標と心理検査指標;統合失調症者の攻撃・衝動性制御および認知改善のための治療的介入研究―治療的・予防的見地から;全体の総括と今後の展望)
第2部 関連原著論文(統合失調症犯罪者における責任能力の予測可能性;Statistical Classification of Criminal Schizophrenics;Pragmatic Competence and Mood in Schizophrenics;Effect of Qigong on Biological Indicators and Psychiatric Symptoms of Schizophrenics;統合失調症犯罪者の統計学的ロールシャッハ分析―認知と気分の視点から)
著者等紹介
村上千鶴子[ムラカミチズコ]
日本橋学館大学教授。1951年生まれ。国際基督教大学大学院修了。筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学医学研究科環境生態系博士課程修了。医学博士。厚生技官、クリニック院長を経て、浦和大学勤務。2007年より現職。専門は、司法精神医学、補完代替医療、宗教精神医学など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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