出版社内容情報
少年非行や家族紛争など家庭裁判所調査官の実践を基に,実践家に必要とされる方法規準を,多くの事例を交えながら考察する。
内容説明
「司法臨床」とは、二重規準として乖離しがちな司法と臨床を架橋しながら問題解決をはかる、より高次のアプローチである。さしのべられた援助を権力による強制と見なし、抵抗する非行少年。話し合いの場である調停を訴え―訴えられる裁判ととらえ、非を責め合う家事調停当事者。本書は司法と臨床の交差領域で実践する家庭裁判所調査官の経験から生まれた。本書では、司法と臨床の枠組みの差異を整列したうえで、少年非行、児童虐待、離婚など、規範的な判断と人間の全体性、関係性の回復が同時に必要な問題の解決への道を、システム論をはじめとする臨床技法と著者の経験を基にした現場の実践知から考察。豊富な事例を交えながら、司法機関・福祉機関の実務家、心理臨床家、学校教師など、法と臨床を横断する支援とコラボレーションが求められる専門職のための、新たな方法規準を提示する。
目次
第1部 司法臨床の概念(司法臨床の特質;司法臨床のアプローチ)
第2部 少年非行へのアプローチ―非行臨床(非行臨床の特質;非行臨床における権威とオーディール;システム論による非行臨床の実際;現代型非行への対応の要点―現代青少年の攻撃性の観点から)
第3部 家族紛争へのアプローチ―家族臨床(家族臨床の特質;家族紛争とメタファー;家族臨床としての「離婚」と「子ども」;司法臨床における児童虐待へのアプローチ)
著者等紹介
廣井亮一[ヒロイリョウイチ]
1957年新潟県生まれ。1981年、新潟大学卒業。1981年、家庭裁判所調査官。1999年、和歌山大学助教授。2005年、学術博士(大阪市立大学)。2006年、京都女子大学発達教育学部助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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