内容説明
少年による衝撃的な犯罪の頻発を契機に少年法が全面的に改正された。著者はまず、新しい少年法のもとでの非行臨床現場の現状と実践課題に焦点を当て、非行臨床の専門性確立のための視点を提供する。そして司法・行政・教育・医療・福祉など広範な領域にまたがった活動を要請される非行臨床の長年にわたる実務経験を踏まえて、具体的な事例をもとに少年たちのより有効な立ち直りへの道筋を探究している。そこでは問題を抱えた子どものみならず家族や彼らが生活する地域社会への援助、さらには犯罪被害者へのケアも求められており、さまざまな領域・対象への心理的援助の実際と問題点が詳述されている。
目次
第1章 改正少年法と非行臨床機関―非行少年はどのように扱われるのか
第2章 少年非行の動向と非行臨床の今日的課題
第3章 司法・矯正領域における心理臨床モデル
第4章 非行臨床における家族問題への対応―家庭崩壊と家庭内暴力を中心に
第5章 非行臨床における心理教育的アプローチ―保護観察所における「家族教室」の試み
第6章 学校心理臨床における非行問題―保護者へのサポートを中心に
第7章 非行少年の被害体験と贖罪―非行臨床におけるトラウマへの対応
第8章 少年非行と行為障害―精神障害を抱えた非行少年への対応
第9章 凶悪な少年は立ち直れるのか―重大な非行への対応
著者等紹介
生島浩[ショウジマヒロシ]
1956年東京に生まれる。1979年一橋大学社会学部を卒業し、法務省に入省。東京及び横浜保護観察所の保護観察官などを経て、1992年筑波大学院修士課程教育研究科カウンセリング専攻修了。1996年法務省法務総合研究所研究部室長研究官。2000年法務省浦和保護観察所観察第一課長。現在、福島大学大学院教育学研究科教授
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