内容説明
本書は、ロールシャッハ法の理論と実際における最新の臨床成果を網羅した大冊であり、メニンガー・クリニックに学んだ著者がRapaportの影響を受け、ロールシャッハ法と精神分析の関係を追究したものであるが、また、ロールシャッハ査定と解釈において、現在普及しつつあるエクスナーによる実証的アプローチと精神分析的アプローチの統合を目指したものでもある。上巻(臨床基礎編)の主題は、精神分析的見方をロールシャッハ法にどのように適用するかという臨床的実際的側面におかれている。施行法、スコアリング、内容分析と縦列分析、解釈過程についてのマニュアルとしての構成とともにロールシャッハ法への精神分析的アプローチの入門編という面を備えている。そして、臨床現場で常に検査者を悩ます、測定主義か臨床主義かのテストに対する基本態度や、治療と査定の相互関係、テストの客観性と検査者の主観の問題など、読者にとって重要な臨床課題が数多く詳述された内容となっている。
目次
体験的精神分析的アプローチ
ロールシャッハ課題の性質
心理検査レポート
精神分析的診断図式
ロールシャッハ査定枠
施行とスコアリング
患者―検査者関係
主要スコア:ロールシャッハ法の諸次元
5番目のスコアリング・カテゴリー
特定のスコアとその意味
内容分析
継列分析
解釈の二つのアプローチ
推論過程
ロールシャッハ査定と治療計画
著者等紹介
溝口純二[ミゾグチジュンジ]
1978年上智大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。臨床心理士。現在、東京国際大学大学院臨床心理学研究科教授
菊池道子[キクチミチコ]
1955年北海道大学文学部哲学科(心理学専攻)卒業。現在、埼玉医科大学精神医学教室非常勤講師、同愛記念病院神経科心理室勤務。安田事業団ロールシャッハ講座講師、日本ロールシャッハ学会常任理事
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