内容説明
天才的心理療法家ミルトン・エリクソンは、どう家族を扱い、いかに子どもを治療したのか?本書は、セラピストにとってこの興味深い話題について、文化人類学者のグレゴリー・ベイトソン、家族療法家のジェイ・ヘイリーとジョン・ウィークランドの三人がエリクソン本人を囲んで行われたインタビューの記録をまとめたものである。編者が彼らの治療方法に対して「家族療法」と名づけたのが1957年。この対話は1958年から61年にわたって行われたもので、本書には彼の家族に対する心理療法の基礎的な考え方と、具体的な方法が随所にわたって語られている。もちろん、エリクソンの伝説的なアプローチの事例も数多く挿入されている。また、今まで公刊されていなかったミルトン・エリクソンの半生についても収録されている。
目次
第1章 家族面接技法と癒しのトラウマ
第2章 家族を引き離す
第3章 困難な家族を扱う
第4章 動揺させることと道具として使うこと
第5章 子どもたちと親たちへの苦行
第6章 指示と子どもへのジョイニング
付録 エリクソンの半生
著者等紹介
森俊夫[モリトシオ]
1958年大阪に生まれる。1981年東京大学医学部保健学科卒業。1988年東京大学大学院医学系研究科保健学専攻(精神衛生学)第1種博士課程修了。現在東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野助手。保健学博士
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たらこ
4
本当に面白いよなー、エリクソン。2016/05/06
ULTRA LUCKY SEVEN
2
家族療法に関して、簡単に読めるレベルで、最高の本(アンコモンセラピーもちと難しい)。なぜこれが絶版なんじゃい。2016/02/20
Kumiko Fukasawa
1
二つ名は「魔術師」稀代の名セラピストである。 サンプルになるクライアントが手元に約4000人!「だから研究フィールドとして、私は考えられる全ての材料をそこに持っていたということです」「先生はセミナーで、痛みのために自己催眠を使うっておっしゃいましたね」「痛みのために?その通りです。それから論文を書くためにもね。論文全部じゃなくて、書いたものをチェックするために。」 ふわふわしたセラピストではなく、頭が柔らかいという元々の資質はあるにしても、経験や知識が岩盤のように裏打ちされた技だと知ることができた。2020/11/28
TONY
1
★★☆☆☆理論は理解できたが現実化するには難しいだろうというのが正直な感想。まだエリクソン催眠しか知らないけど僕には催眠よりもカウンセリングのスタンスが目指しているものに近いと感じた。2012/12/06
さしとおう
1
成長過程にあるどの家族にとっても、きわめて重要だと思うことはね、子どもたちは、親同士の意見が合わないことがあるという事実にちゃんと気づくこと、そして親間の喧嘩を子どもは認めてあげなくてはいけないということなんです。なぜならば、子どもたちは、自分たちの兄弟間の問題がどいうふうにして起こり、そしてどういうふうにそれを乗り越えていくのかについて、学ばなければならないからです。p114より ◇エリクソンの治療は患者に合わせて完全にオーダメイドされている。天才と言われる理由が分かった。2009/07/24