内容説明
ユング派やロジャース派といった学派に関係なく、サイコセラピー一般の原点を形成し、治療機転となっていく態度こそが、「こころに添う」というセラピストの在り方である―と著者は説く。この「こころに添う」ためにどういう意識が必要なのかをつづった標題論文をはじめ、クライエントを尊敬し、クライエントはセラピーそのものさえも教えてくれるとする著者の論文は、本来あるべきセラピストの姿を的確に映し出すものだろう。また、第2部には「臨床に疲れた心理療法家のために」と題した座談会を収録。ここで述べられている言葉は、クライエントとの関係性がうまくとれなかったり、自信の喪失などで、立ち行かなくなったセラピストを勇気づける。そうした視点から始まった「語り」は、セラピストとセラピー本質に行き着き、まさに「セラピスト原論」というにふさわしいものとなっている。著者の30年にもわたる治療経験から生み出された叡智を記した本書は、すべてのこころの治療者に多くの示唆を与えるものである。
目次
第1部 臨床で学ぶこと(望まれる臨床心理士とは?;心理臨床のインフォームド・コンセント;患者から学ぶ―二重の学び;こころに添う)
第2部 臨床に疲れた心理療法家のために(臨床に疲れる;セラピストに向いているか;心理臨床を学び続けるために;他職種とセラピスト―協同関係を考える;自らを癒すこと;心理療法家と家族)
第3部 子どものこころに添う(子どもは何を悩んでいるのか―その実態と心理;心理療法からみた子どもの超越)
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