内容説明
クライエントの描いた絵を前にして、それをどう受け止め、どう読み解いていけばよいのだろう。そもそもクライエントに何を、どのように描いてもらえばよいのだろうか。著者は描画との出会いからその治療的応用にいたるまで、描画臨床を学ぶ過程においてそのような問いに直面し、多くの出会いによって会得してきたことを、多くの具体的な事例やエピソードを通して語っている。臨床家としての体験が紡ぎあわされた本書を読み進むうちに、描画テスト・描画療法の基礎的骨格が自然と浮かび上がってくる。また、臨床家として入門の一歩あとに求められる豊かな肉付けも、著者の経験と実感に基づいて語られているので、きわめて納得しやすいものである。さまざまな領域で描画を用いたアセスメントや治療的接近がさかんになっているが、本書はそのような臨床現場で必ずや身近におかれるべき一書である。
目次
第1章 つぶやきを聞く―描画テストとの出会い
第2章 何を描いてもらうのか―描画教示の選択
第3章 何を受けとめるのか―読みの外堀を埋める
第4章 いかに読み解くのか―読みの内堀を埋める
第5章 何を体験してもらうのか―描画療法の感動
付 実践ノート―描画テスト・描画療法を始めるために