内容説明
この本は、独文学者としてのニーチェの長い間の読書と、精神医学者としての臨床と研究との融合によって成っている。文学者と医学者の二つの側面を持つ著者ならではの労作である。ニーチェを梅毒性の精神異常、つまり進行麻痺に侵された人と診断し、作品と生涯の綿密な分析解明が行われている。この分野での先人の研究にも丁寧に誠実に言及がなされている。
目次
第1章 ニーチェの病態像と病歴(トリノでのカタストロフィー(1888年12月~1889年1月)
カタストロフィーまでの伏線―多幸症(Euphorie)と妄想形成(Wahnbildung)(1888年9月末~1888年12月)
バーゼルにて(1889年1月10日~1月17日)―急性期 ほか)
第2章 ニーチェ病跡学の歴史(一般人および知人たちの、ニーチェの病気(精神病)についての見解
ニーチェの妹Elizabethのニーチェの病気についての見解
W.W.Ireland:Fr.Nietzsche,a study in mental science.『F.ニーチェ、その精神医学的研究』(1901) ほか)
第3章 ニーチェ病跡学からニーチェ人間学へ(ニーチェ病跡学の総括とその問題点;ニーチェの病識と病気観;心理学者としてのニーチェとフロイトおよびユンク ほか)