内容説明
構成は第1部事象呈示編と第2部事象思惟編からなる。第1部は症例の濃密な記録であって、臨床家が容易に納得できる内容である。第2部もまた臨床家の日常経験から出発して、読者を超越論的思惟へと導き、さらにその先へと誘う。読者は「先(vor)」をキーワードに著者の体験と思惟を辿りながら、本書がやがて書かれるであろう妄想・幻覚の存在論を目指していることを予想する。
目次
第1部 事象呈示編―記録を超える透明なる無(分裂する他者・ノケオの記録;記録を超えるものの記述)
第2部 事象思惟編―現象学的存在論から先現象学的先存在論へ(“間”と“関わり”;表現と実存;分裂者現象の無;フッサール、ハイデガーを精神医学的に先へと超えて;分裂者現象が暗示し、予言するもの)