目次
1 精神病理(境界例をめぐる最近の動向;心理臨床家と境界例;ロールシャッハ・テストと境界例;境界例の周辺―サブクリニカルな問題性格群)
2 治療の技法(カーンバーグ的な境界例治療の技法;マスターソンの境界例概念と治療技法;共感・探究的な技法による境界例治療;森田療法と境界例)
3 ケース研究(治療は失敗?あるいは成功?―行動化と転院を契機にして急速に治癒に向かったボーダーラインケース;症状、電話、面接、そして手紙―ある境界例の精神療法における起承転結;母子分離、そして妻になり母になることに向けての援助;ロール・レタリング〈役割交換書簡法〉による精神療法―境界性人格障害患者の臨床事例)
感想・レビュー
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okhiro
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岡田尊司さんの「境界性パーソナリティ障害」に比べ、 専門的な30年前の本。カーンバーグやマスターソンといった専門家がこの病気の大家(?)であるようなこともわかる。特にケース研究では、生々しい実例を通じて、治療者と患者の息詰まるようなやりとりが迫力があり、強い印象を受けた。私自身の娘がこの病名の診断を3年前に受けたが、今は落ち着いている。編者もいうようにこの病気の治療については一筋縄ではいかないが、昔からさまざまな試行錯誤や理論をもとに現場の治療者が苦労して努力されてきたことが垣間見える。2025/02/17