内容説明
本書は、Health GIS、すなわち保健医療のためのGISについてまとめられた、本邦では最初の成書であろう。Health GISによる取り組みには多様な対象とアプローチがあり、本書でも、John Snowのコレラマップのような古典的な事例から、原子力発電所周辺での発ガン疑惑のような現代的話題、疾患の空間分析・保健計画支援から感染症媒介生物の監視技術にわたる方法論的整理、日本国内とともに海外(途上国)のフィールドでの取り組みの詳細、とできるだけ幅広く話題を集めるよう心がけた。
目次
第1章 保健医療と地理情報科学
第2章 GISと疾病地図
第3章 空間疫学分析
第4章 感染症とGIS
第5章 保健医療計画とGIS
第6章 開発途上国の地域保健とGIS
第7章 保健医療における情報配信とWebGIS
付録(Health GISに関するリソースガイド;RとDCluster)
著者等紹介
中谷友樹[ナカヤトモキ]
1970年神奈川県生まれ。東京都立大学理学研究科博士課程修了。博士(理学)。現職は、立命館大学文学部人文学科地理学専攻助教授。数量計量地理学・地理情報科学・医学地理学が専門。地理的な数理・統計モデリングを用いた空間分析・GIS研究一般を専門領域とする。とくに医学地理学的なモデリング・GIS研究の発展に関心を持っている
谷村晋[タニムラススム]
1968年京都府生まれ。甲南大学大学院自然科学研究科修士課程修了、和歌山県立医科大学公衆衛生学研究生(甲)を経て、東京大学大学院医学系研究科博士後期課程(国際保健計画学教室)を中途退学。現職は、長崎大学熱帯医学研究所社会環境分野助手。地理情報科学的アプローチを援用しながら、開発途上国の地域を対象に疾病の地域集積性など疫学的課題および人的医療配分問題に取り組んでいる
二瓶直子[ニヘイナオコ]
1944年東京都生まれ。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科地理学専攻修了。医学博士。東京大学医科学研究所寄生虫研究部を経て、現職は国立感染症研究所昆虫医科学部客員研究員。専門は医学地理学・疫学・医動物学・寄生虫学。動物媒介性疾患対策のためにGIS/GPS/RSを運用している。日本、アジア、アフリカ、太平洋諸国において、WHO関係者および多方面の研究者と連携した野外調査、生物学・土壌地理学・寄生虫学に基づく室内実験を通して、動物媒介性疾患の環境要因を検討してきた
堀越洋一[ホリコシヨウイチ]
1961年東京都生まれ。群馬大学医学部卒業。医師。現職は、国立国際医療センター国際医療協力局派遣協力課。南アフリカ、アフガニスタン、マダガスカルなどの国々において、GISを活用した国際医療協力分野のプロジェクトマネジメントを実践している
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