出版社内容情報
平成の大合併後,地域の歴史や文化を考慮しない地名や地理的配慮を欠く地名が増加していった。国際社会においても、先住民の地名を奪い、支配者の名前を冠する問題地名が批判を受けている。
どんな地名に問題があるのか? 問題ある地名や課題を残す地名を防ぐにはどうすればよいのか?
国連は「地名の標準化」を提唱し、ガイドラインを示しており、先進各国は準拠して地名表示の標識などが整備されている。日本は基準がなかったので、平成の大合併などで奇妙な地名が生じてしまった。このまま放置すれば、国際社会から批判を受ける地名がさらに生産されてしまう。
国際的基準からズレた地名決定にならぬように,日本社会はいま、どんな制度を整備すべきか。その背景にはどんな考えがあるかを丁寧に解説した初めての本。地名問題の背景にある理論と考え方を理解できる1冊。
【目次】
まえがき(田邊 裕)
第1章 地名はどのように議論されてきたのか(春山成子)
第2章 国連における地名標準化に向けた取り組み経緯と今後の方向(村上広史)
第3章 国連の考える地名標準化とはなにか(二村太郎)
コラム1 南極の地名(三浦英樹)
第4章 国連が求める地名標準化機関とは何か(山田育穂)
コラム2 少数民族を抱えるカナダ地名委員会(田邉 裕)
第5章 海底地形名の命名・統一に関する国内外の取り組み(八島邦夫)
コラム3 地名等の統一に関する連絡協議会(八島邦夫)
第6章 世界遺産と地名(鈴木地平)
コラム4 フランスの地名委員会の守備範囲(田邉 裕)
第7章 国際社会における日本の地名(田邉 裕)
コラム5 中国地名委員会の提言(田邉 裕)
第8章 日本の地方自治体での地名議論― 地名改変時の問題を解決するために ―(戸所 隆)
第9章 歴史地理と地名(上杉和央)
コラム6 多様な地名研究から(春山成子)
第10章 先住民族の地名 ― アイヌ語地名を事例として ―(小野有五)
第11章 学校教育の中での地名課題― 「地名の暗記」から「地名の意味」を学ぶ教育へ ―(三橋浩志)
第12章 まとめにかえて ― 地名委員会を考える ―(岡本耕平)
あとがき 春山成子
索引/著者紹介