内容説明
富士山ほど人々に親しまれている山は他にない。日本人だけでなく、世界の人々にフジヤマと賞賛されている。この美しい富士山を世界遺産に登録する運動が、静岡・山梨両県の行政、諸団体によって1992年に始まった。登録は簡単に実現できると思われた。なにしろ世界のフジヤマである。ところが富士山の素顔に近づいてみると、世界遺産にふさわしくない「富士山の今」が浮かび上がってくる。富士山を賞賛する写真集や自然・文芸に関する書籍は多い。しかし、私たちはあえて霊峰富士の抱える多くの問題を、“森・水・基地・ゴミ・祈り・あそび・世界遺産”などをテーマに、山麓に生きる人々の姿を通して追究するものである。
目次
序章 富士の森林は今
第1章 豊かな湧き水
第2章 山麓は豊かな農牧業地域
第3章 西富士牛飼いの村
第4章 オウムに揺れた村
第5章 東富士演習場
第6章 北富士に忍草の火は消えず
第7章 ヘドロ山に登る
第8章 富士公害と牛飼いのむら
第9章 富士山と宗教
第10章 富士の観光
終章 富士山 世界遺産への道