内容説明
著者らは先進国の農村地域に対する統合的で分析的なアプローチを提供しようと試みた。そこでは、社会変化の原因と結果が強調されるが、それは、さまざまな地理的スケールで、そして空間によって異なる強さで作用する諸プロセスを描き出そうする1つの枠組のもとで行われる。「抽象的な」理論化よりも経験的分析を重視したのは、農村地域を対象にした満足できる理論モデルがなかったことと対応している。さらに、著者らは、社会科学が現在「静かなる混迷」と呼んでもよい状態にあると感じている。社会経済構造の卓越した影響力を強調する構造主義者の説明様式と、行動に一層指向した説明との間には大きなギャップがある。これらに代わるアプローチは、戯画的には、構造を所与のものとして扱い、行動の逸脱を「偶然的な関係」だと説明して片付けるか、あるいは「説明されない」変数を測定不能の変数やまだ未確認の変数とみなすことにより、均一的な行動の中に一般化を追求するかのどちらかである。明らかに、こうした両極端の態度は急速に魅力を失いつつあるのだが、構造主義と行動主義がうまく混合されるのにはもう少し時間がかかる。本書は、この論争から我々が学んだうちのいくつかの要素を結び付けようとしている。比較や統合的アプローチを用いることによって、先進国の農村地域の問題と可能性を検証するための、従来とは異なる枠組を提供しようと努めた。
目次
第1章 序論
第2章 概念
第3章 理論的枠組
第4章 農村開発の国際的コンテキスト
第5章 国家、地域と農村開発
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