内容説明
第1部では、目を世界に向けて、イノシシと人間、家畜化されたブタと人間、野生化したブタと人間のかかわりをとりあげる。舞台は世界であるが、もちろんこのなかでも日本の事例をとりあげ、その特徴をみていく。第2部と第3部の舞台は日本である。第2部では、特に農作物被害の防除をめぐるイノシシとの攻防と、これからの取り組みが期待されるイノシシの管理についてみる。そして第3部では、地域づくりといった視点から、イノシシと人間、イノシシと地域社会がどのようにかかわっていけばよいのかについて考える。
目次
第1部 イノシシとブタ(イノシシとブタ―人とのかかわりを通して;野生のブタ?飼育されたイノシシ?―考古学からみるイノシシとブタ;台湾原住民族ツォウとイノシシ―イノシシ狩猟の社会的位置づけ ほか)
第2部 イノシシとの攻防と管理(猪垣にみるイノシシとの攻防―近世日本における諸相;イノシシの行動と能力を知る―現代の攻防最前線;知られざるイノシシの生態と社会 ほか)
第3部 地域づくりとイノシシ(イノシシのまち―丹波篠山;イノブタとまちづくり―和歌山県すさみ町;食肉資源としてのイノシシ―飼育者の立場から ほか)
著者等紹介
高橋春成[タカハシシュンジョウ]
1952年滋賀県生まれ。奈良大学文学部地理学教室教授。博士(文学)。生物地理学、地域環境学。人間と動物のかかわりの地域文化、地域生態、地域づくりが専門
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感想・レビュー
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湖上の煙
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猪の生態や行動などを解説し、また人間との関わり合いにおいても害獣としての猪、食肉としての猪、猪による地域活性化など多面的に考察した内容となっている。特に農作物の被害を減らすため、人間は猪とどのように対峙してきたか、近代から現在において猪のイメージはどう変化してきたのか、また、今後人間はどのように猪と付き合っていくべきか記述した箇所は特に興味深く読んだ。人間の生活が変われば、当然野生動物との付き合いも変わっていくわけで、問題はまだまだ山積みである。2022/11/30
私的読書メモ3328
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イノシシについて、またイノシシと人間の関わりについて、様々な角度から述べられた論文集。とても興味深く、面白く読めました。2016/09/30