内容説明
大草原を舞台に少女と子羊は出会った。その日から、アローハンと羊のホンゴルはいつも一緒だった。遊牧民の子どもたちと一年間ともに暮らした作者が、大自然の雄大さ、命の尊さを、美しい水墨画で描いた絵本。
著者等紹介
興安[ヒンガン]
1973年、内モンゴルの都市フフホトに生まれる。1992年、内モンゴル師範大学美術科に入学。大学では油絵、大学院では水墨画を専攻。大学院卒業後、草原の町の小、中学校で遊牧民の子どもたちに美術を教える。日本画に魅了され、2001年来日。2002年、東京学芸大学の研究生として日本画研究室に入り、2004年には、同大学院に進む。2006年、教育学研究科美術教育専攻課程を修了。『子どもに語るモンゴルの昔話』(こぐま社)では扉絵を担当した。『アローハンと羊―モンゴルの雲の物語』が初めての絵本となる。高校時代に作った詩を元に、物語の構想が生まれ、水墨画の手法で絵が描かれた
蓮見治雄[ハスミハルオ]
1969年、東京外国語大学大学院アジア第一言語修士課程修了。元・東京外国語大学モンゴル語科主任教授。モンゴルの言語、文化、口承文芸など多岐にわたって造詣が深く、モンゴル語で執筆、出版された著書、論文も多数ある。「日本モンゴル学会」理事。NPO法人「みんなで創る東北アジアの会(TAK)」代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
118
季節と共に大地を移動しながら暮らすモンゴルの民。パートナーは自然から生まれたと言い伝えられる5種類の家畜。馬は風から、牛は水から、ラクダは太陽から、山羊は岩山から、そして羊は雲から生まれた。だから必要なものは常に共にあるのだ。生活信条は「風向きは誰にもわからない」。未来は風に舞っている。たとえ別れる時が来ても、彼らは自然に溶け込んで傍にいてくれる。草原に生きる一人の女性と羊の交流を描く物語。作者はモンゴルで生まれ、日本で絵画を学んだ人物。本書は自作の詩を元に水墨画の手法で描いたという。2013年4月初版。2016/06/19
やま
85
瑞々しく、厳しい大草原に生きるモンゴルの家族の物語です。女の子のアロ―ハンは、名前をホンゴルと付けた子羊の首に、深い絆を示す赤い紐を付けて、一緒に友として分身として生きて行きます。この物語は、ふたりの成長と、モンゴルの大草原の雄大さと、厳しさが伝わってくるとともに。雲の流れのように生きるモンゴル人の情愛が伝わって来ます。笑顔と、そして涙が…素晴らしい絵本です。2007.02発行。字の大きさは…大。2022.02.25読了。★★★☆☆2022/02/25
モリー
79
「スーホの白い馬」を読んだ方なら読みたくなると思います。内モンゴルで生まれ、遊牧民の子供たちに美術を教えていた方が構想し、絵を描いています。モンゴルの人々と家畜との深い絆は、モンゴルの気候風土の中でしか生まれない独特なものだと感じました。モンゴルの人々は、『殺して食べてしまうことなど絶対にできない家畜がいる場合、「神様や仏様にお供えする」という名目で殺さない方法』を考えたそうです。主人公のアローハンと羊のホンゴルはそういう間柄でした。『モンゴルの青い空に浮かぶ雲のひとつひとつには、それぞれの物語がある』2022/01/20
booklight
37
『モンゴルの青い空にうかぶ 雲の一つ一つには それぞれの物語があると いわれています。』という素敵な始まり。雲の水彩もいい感じ。その低さにモンゴル感?がでている。物語も、自然と歴史と溶け合い、主人公の想いも併せて伝わってくる。なかなかよかった。2023/12/16
mntmt
24
いい絵本を読んだ。ラストページの青い空が目に染みる。2016/06/13