内容説明
朝も、昼も、夜も、くる日も、くる日も、降りつづく雨…。箱舟に乗りこんだ人間と動物とのハーモニーを精緻なエッチングで描きだす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリー
51
再読。池澤夏樹さんの著書『春を恨んだりはしない』の中の一節を読んだことが再読の動機でした。その一節とは、「神は自然を人間に対する意思伝達としてはお使いにならない。人が勝手に荘厳な夕日の中に「自然における神の栄光」を読み取るのだ。キリストは神を試してはいけないと言った。絶対に、どんな意味でも、今度の震災をノアの洪水と見なすべきでは。」です。池澤さんはその後、こう述べています。「天災に際してまず大事なのは「天罰だ、反省しろ」というお説教ではなく、連帯である。」と。【連帯】の二文字がこの本と初めて繋がりました。2020/05/24
chiaki
44
旧約聖書創世記から『ノアの箱舟』がとてもシンプルに描かれている。人間の行いが神の逆鱗に触れ、神は大洪水を起こす。世界をやり直すため、神の命でノアは箱舟を作り、彼の家族と地上のあらゆる生き物のつがいには救いの手が差し出された。肉食草食も共存する満員の箱舟内、なんてシュールな光景。アーサー・ガイサートの銅版画の美しさに惚れ惚れします♡ピーター・スピアーのも見てみたい!2021/07/03
ケ・セラ・セラ
19
文章は淡々と書かれているのだが、家族だけで全ての動物たちの世話をするその大変さも書かれていたりして、ちょっとリアルに感じることができる。すべての生き物、ひとつがいずつって、すごい数。モノクロの緻密な画で、箱舟という閉じられた空間の中の様子が描かれる。物凄いことだぞとあらためて思ったり。2021/08/09
くり坊
16
小学校の読み聞かせ会に使う本を図書館本で物色。今回は、オーソドックスな昔話や伝説、宗教説話あたりでどうかと思いつつ、洋モノで行くか和モノで行くか、迷ってウロウロ。この『ノアの箱船』は細密な絵が美しい。意図して手に取ったわけではないが、見たら翻訳はドイツ文学者の小塩節先生、トシ子先生ご夫妻であった。こういうお仕事もされたのですね。2015/11/13
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
15
タイトル通り、旧約聖書のノアの箱舟の物語。シンプルですが、箱舟の断面の描写が、作者の想像なのでしょうが魅入ってしまいました。人間と動物の共存は現代でもこうであってほしいです。『洪水のあとで』という続編もあるそうなので図書館に予約しました。2022/09/28
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