内容説明
1830年から1914年のあいだ、地中海は、イギリス人の生き方、そして死に方にまで大きな影響を与えた。本書の目的は、ヴィクトリア=エドワード時代のひとびとが、その旅から得た豊かな文学的名残を、いかに人生に取り込んでいたのか詳しく知ることである。
目次
第1部 方法と手段(移動;目的地)
第2部 動機(巡礼;文化 ほか)
第3部 経験と態度(認識の光;文明 ほか)
第4部 態度と経験(天国の廃墟;預言の才 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SQT
1
〜10章、結論。エドワード期の主に上流階級の人々はグランドツアーの時代と同様にイタリアなどの地中海へ旅をしていた。その旅がどのようなものであったか。たとえば交通手段。馬車→蒸気船→鉄道。専用の馬車を賄うことができる人は苦労しなかったが、乗り合い馬車で移動せざるをえなかった階級はその車内環境の悪さで苦しんだし、それは産業革命以降蒸気船や鉄道が営業を始めた時も同様で、たとえば窓を閉めたがるフランス・イタリアの現地の人々。一方でイギリスの人は窓を開けないと悪臭でやってられない、と。ただ開けると開けるで煤が…2017/07/02