出版社内容情報
人狼ゲームからみえてくる、私たちの会話のかたち
意味の社会学と数理社会学を接続し、嘘や秘密が入り混じる場面をゲーム理論で分析。日常の相互行為を新たな視点から解き明かす。
内容説明
人狼ゲームを例に、嘘や秘密といった当たり前に行われる「日常的な相互行為」をゲーム理論的に分析。これまで交流の少なかった意味の社会学と数理社会学を架橋する。
目次
序章 意味の社会学と数理社会学のすれちがい―なぜ意味は数理社会学の対象とならなかったのか―
第1章 意味とゲーム理論―意味構成の3水準―
第2章 Schutzの行為論とゲーム理論―ゲーム構造の形成―
第3章 Garfinkelの違背実験とゲーム理論―間主観性の成立―
第4章 合理的な選択結果としての「今、ここで起きていること」―EsserとGoffmanを手がかりにして―
第5章 嘘と秘密の社会学再考―ゲーム理論的分析に向けて―
第6章 人狼ゲームの分析―嘘と秘密とゲーム理論―
終章 意味の社会学と数理社会学がむすびつくところ―意味の数理社会学の展開―
著者等紹介
小田中悠[オダナカユウ]
1989年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了、博士(社会学)。現在、京都先端科学大学人文学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あたま
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社会学に固有のものと考えられている相互行為の意味づけ様相の研究(間主観的に成立している動機や行動に付与される意味を理解する「意味の社会学」)と伝統的な社会学理論を排除する論理実証主義を源流とし、心理学や経済学など社会学に由来しない社会科学的モデルで社会を分析する学際的傾向をもつ数理社会学の対立があった。一方、自然言語による社会学理論のフォーマライゼーションを志す立場も初期から存在していた。本書は後者の立場で意味の問題への数理的アプローチを標榜しているが、数式が「全く」登場せず拍子抜けな感も否めない。2025/02/09